![]() オリゴペプチド化合物及びその使用
专利摘要:
本発明は、治療法に使用される、PCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物、又は該オリゴペプチド化合物をコードする配列を含む核酸分子であって、PCNA相互作用モチーフが、X1X2X3X3’X1’(配列番号1)(式中、X1及びX1’は独立して、塩基性アミノ酸の群から選択され、X2は脂溶性アミノ酸であり、X3及びX3’は独立して、非荷電アミノ酸の群から選択される)であり、オリゴペプチド化合物が、(i)オリゴペプチド化合物がシグナル配列を少なくとも1つ含むこと、(ii)PCNA相互作用モチーフが[K/R]−F−[LIV]−[LIV]−[K/R](配列番号27)であることの少なくとも一方をさらに特徴とする、PCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物、又は該オリゴペプチド化合物をコードする配列を含む核酸分子を提供する。特にこの治療法は、細胞の成長を阻害することが望まれる障害若しくは病態、例えば過剰増殖性障害の治療、又は細胞増殖抑制療法を伴う治療、例えば骨髄除去であり得る。或る特定の態様では、本発明の化合物自体を細胞増殖抑制剤として使用してもよい。本発明の他の態様では、このようなモチーフを含むオリゴペプチド化合物を細胞増殖抑制剤又は放射線療法と共に使用してもよい。 公开号:JP2011512150A 申请号:JP2010547249 申请日:2009-02-20 公开日:2011-04-21 发明作者:ペル;アーネ アース;マリット オッターレイ;エマドルディン フェイズィ 申请人:エーピーアイエム セラピューティクス エーエス; IPC主号:C12N15-09
专利说明:
[0001] 本発明は、新規の薬剤、医薬組成物、及び治療、特に過剰増殖性疾患、又は実際に細胞増殖抑制療法を必要とする、若しくは細胞増殖抑制療法に対して反応性がある任意の病態の治療等において細胞の増殖又は成長を低減又は防止することが望まれる又は好都合である任意の治療におけるそれらの使用に関する。本発明は、増殖性細胞核抗原(PCNA)と、DNA修復、維持及び細胞周期の調節にかかわる様々なタンパク質との間の新規の相互作用の特定、並びにこのような相互作用に関与する新規のペンタペプチドモチーフ(本発明者らはAPIMと呼んでいる)のその後の同定に基づいている。したがって、本発明はより具体的には、このようなモチーフを含み、且つPCNAと相互作用可能なペプチド又はその模倣薬、このような薬剤を含む医薬組成物、及び上記のような治療、特に細胞増殖の低減又は防止を伴う治療におけるこのような薬剤の使用に関する。好ましくは細胞増殖抑制剤と併せてPCNA相互作用モチーフを含む薬剤を使用することを含む治療法も提供される。] 背景技術 [0002] ヒト及び動物の細胞は、活性酸素種、UV光、x線及び内因性又は外因性の細胞増殖抑制剤のような種々のDNA損傷の原因に曝されている。] [0003] 細胞増殖抑制剤は、例えばDNAを損傷させることにより、又は細胞複製機構に干渉することにより、細胞の成長及び/又は増大(増殖/複製)を阻害又は抑制する薬剤である。アルキル化剤は細胞増殖抑制剤の一種であり、その幾つかが臨床的に又は研究目的で使用されている。] [0004] アルキル化剤はN原子又はO原子で塩基を修飾することによりDNA損傷を引き起こす。損傷の種類は薬剤の種類によって変わり、ほとんどの薬剤が特異的なDNA修飾を引き起こす。DNA損傷にはアルキル化付加(adducts)と鎖間架橋とが含まれ、これが複製中のミスコード及び/又は複製の阻止につながり、その後二本鎖切断又は損傷乗り越え合成が起こり得る。] [0005] ヒト及び動物の細胞は、塩基除去修復、ヌクレオチド除去修復及びミスマッチ修復を含む様々なDNA修復システムを保有している。例としては、酸化的脱メチル化により、3−メチルシトシン(3meC)をシトシンに、及び1−メチルアデニン(1meA)をアデニンに再変換するヒトDNA酸化デメチラーゼ、hABH2である。] [0006] DNA修復と細胞周期によって調節されるDNA複製との間の緊密な連携がゲノム完全性には必須である。損傷の存在下では、損傷が修復されるまでDNA複製を停止することが重要であり、そうでなければ突然変異が起こり伝播する。DNA複製とDNA修復との両方にかかわることが知られているタンパク質の1つは増殖性細胞核抗原(PCNA)である。] [0007] PCNAは、細菌からより高等な真核生物まで機能的に保存されているタンパク質のスライディングクランプファミリーのメンバーであり、その主な機能はゲノムの重複に必要とされる高い処理能力を有する複製ポリメラーゼを提供することである。生きているS期細胞では、緑色蛍光タンパク質(GFP)でタグ付けされたPCNAが複製の異なる中心(foci)提示部位を形成する。そのため、PCNAをS期マーカーとして使用することができる。] [0008] DNA修復、クロマチン集合化、エピジェネティックなクロマチン再構築(remodelling)、姉妹染色分体凝集、細胞周期制御及び生存等の細胞過程にかかわる多くのタンパク質は、12個を超える複製フォークを含有する、いわゆる複製工場に局在化している。これらのタンパク質の多くは、PIP−ボックス(QxxL/I/MxxF/DF/Y)(ここではxは任意のアミノ酸であり得る)と呼ばれる、保存されたPCNA相互作用ペプチド配列を介してPCNAと相互作用する。KAxボックスと呼ばれる代替的なPCNA結合モチーフが、ペプチドディスプレイライブラリを使用して同定されたが、このモチーフはin vivoでのPCNA相互作用にとって重要であることは実証されていない。] [0009] 様々なタンパク質がPCNAと相互作用し、hABH2を含むこれらのタンパク質の幾つかが複製中心においてPCNAと共局在化することが分かっている。しかしながら、共局在化自体は共局在化するタンパク質間に何らかの直接的又は間接的な相互作用があることを示唆してはいない。実際、hABH2にはPIP−ボックス又はKAxボックス等のPCNA結合モチーフが存在していないことにより、hABH2がPCNAと相互作用しないことが示唆されるであろう。] 課題を解決するための手段 [0010] 本発明につながる研究において、本発明者らは驚くべきことに、様々なタンパク質が新規のPCNA相互作用モチーフを介してPCNAと相互作用することを見出した。これらのタンパク質の1つであるhABH2では、このモチーフはN末端に位置している。本発明者らは、このモチーフがPCNAとの相互作用に必須であり、且つ十分でもあることを確認した(実施例1を参照されたい)。] [0011] 以下の実施例でより詳細に説明されるように、アルキル化による損傷のDNA修復におけるこのPCNA相互作用モチーフの機能を研究するために、このモチーフを含む組換えペプチドを発現する細胞株を様々な用量のメチルメタンスルホネート(MMS)(これは3−メチルシトシン及び1−メチルアデニンの形成を引き起こすSN2アルキル化剤である)に曝した。このモチーフを含む組換えペプチドの発現が、細胞をMMSにより引き起こされるDNA損傷に対して増感させることが見出され、これによりこのモチーフを含む組換えペプチドがPCNAとhABH2との間の相互作用を競合阻害することが示された。] [0012] 他の種類のDNA損傷を引き起こす、BCNU、テモゾロマイド(TZM)及びマイトマイシンc(MMC)を含む他の薬剤も試験したが、大変驚くべきことに、本発明者らは、このモチーフを含む組換えペプチドは、細胞をこれらの薬剤により引き起こされる損傷に対しても増感させることを見出した。これは全く予想できないことであったが、それはBCNUが主として鎖間架橋と幾つかの一塩基環状付加体(1,N(6)エテノアデニン(ethanoadenine))とをもたらすO6−クロロエチル化剤であり、TZMが06Gメチル化剤であることが報告され、MMCがCpGにおけるグアニンのNアルキル化を介して鎖間架橋を引き起こし、hABH2がこれらの種類のDNA損傷を修復しないためである。その代わりとして、この種の損傷を修復する他の酵素が存在し、例えばTZMによる損傷は、O6−メチルグアニン−DNAトランスフェラーゼ(MGMT)により直接的に修復される。これらの研究結果により、このモチーフを含む組換えペプチドがhABH2とPCNAとの間の相互作用を阻害するだけではないこと、及び他のタンパク質を伴ってもよい、すなわち他のタンパク質を、新規のモチーフを介してPCNAと相互作用させてもよいことが示される。] [0013] 本発明者らは、このモチーフを含む組換えペプチドの発現が、ABH2ノックアウトマウス、すなわちABH2を保有していないマウス由来の細胞株で観察されたものを超えて、細胞増殖抑制剤(具体的にMMS)の細胞傷害効果を増大させることも見出し、これによりさらに、このモチーフを含む組換えペプチドが広範な効果を有し、hABH2だけではなく他のタンパク質も阻害し得ることが示された。] [0014] これらの驚くべき研究結果により、本発明者らはPCNA結合モチーフを含むペプチドに関する治療的使用を提案している。] [0015] APIMと呼ばれる、新規の本発明のPCNA結合モチーフは特徴付けられており、以下のように規定され得る: X1X2X3X3’X1’(配列番号1) (式中、X1及びX1’は独立して、塩基性アミノ酸の群から選択され、X2は脂溶性アミノ酸であり、X3及びX3’は独立して、非荷電の、好ましくは非極性アミノ酸の群から選択される)。] [0016] PCNAと相互作用可能なペプチド(又はオリゴペプチド化合物)は、このようなペプチド(又は配列)モチーフを含有し得る、又はこれを含み得る。このため、PCNAと相互作用可能であり、且つこのようなモチーフを含むオリゴペプチド化合物が本明細書中に開示され、本発明の或る特定の態様を表し得る。] [0017] 例えば一実施の形態において、本発明は、PCNAと相互作用可能であり、且つモチーフX1X2X3X3’X1’(配列番号1)(式中、X1及びX1’は独立して、塩基性アミノ酸の群から選択され、X2は脂溶性アミノ酸であり、X3及びX3’は独立して、非荷電の、好ましくは非極性アミノ酸の群から選択される)を含む、オリゴペプチド化合物であって、 (i)オリゴペプチド化合物が少なくとも11個のアミノ酸又は同等のサブユニットを含むこと、 (ii)X2がフェニルアラニンではないこと、 (iii)オリゴペプチド化合物が少なくとも1つのD−アミノ酸を含むこと、 (iv)オリゴペプチド化合物が、少なくとも1つのシグナル配列、すなわちオリゴペプチド化合物を特定の位置に方向付ける配列、例えば細胞に方向付ける配列(例えばオリゴペプチド化合物を細胞に方向付ける細胞透過配列)及び/又は特定の細胞コンパートメントに方向付ける配列(例えばオリゴペプチド化合物を核に方向付ける核局在化シグナル配列)を含むこと、並びに (iv)オリゴペプチド化合物がモチーフ[K/R]−F−[L/I/V]−[L/I/V]−[K/R](配列番号27)を含むこと、 の少なくとも1つをさらに特徴とするオリゴペプチド化合物を提供し得る。] [0018] 特にこのような実施の形態において、オリゴペプチド化合物は核局在化シグナル配列を含む。別の実施の形態では、オリゴペプチド化合物は細胞透過配列(細胞透過ペプチド)を含む。またさらなる実施の形態では、オリゴペプチド化合物は細胞透過配列と核局在化配列とを含む。] [0019] したがって、このような実施の形態において、本発明の化合物は、少なくとも1つのシグナル配列と共に、上記で規定のように、PCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物を含有する(すなわち含む)構築物の形態を取り得ることが分かる。したがってこの態様では、本発明は、少なくとも1つのシグナル配列と共に、PCNAと相互作用可能であり、且つモチーフX1X2X3X3’X1’(配列番号1)(式中、X1及びX1’は独立して、塩基性アミノ酸の群から選択され、X2は脂溶性アミノ酸であり、X3及びX3’は独立して、非荷電の、好ましくは非極性アミノ酸の群から選択される)を含むオリゴペプチド化合物を含む構築物を提供することが分かり得る。] [0020] 上述のように、新規の本発明のモチーフは、このようなモチーフを含有するオリゴペプチド化合物(例えばペプチド)又はタンパク質とPCNAとの相互作用を媒介することが確定している。] [0021] 相互作用は直接的でも若しくは間接的でもよく、モチーフとPCNAとの直接的な結合を伴ってもよく、又はモチーフが間接的に結合してもよく、例えば結合が別の分子によって媒介されてもよい。このため「PCNA相互作用」又は「PCNA結合」に対するこの言及は、任意の形態の相互作用、又は直接的結合及び間接的結合の両方を含み得る。] [0022] 本明細書での「モチーフ」に対する任意の言及は、本明細書で規定のようなX1X2X3X3’X1’を意味すると理解されるものとする。] [0023] 好ましくは、X1及びX1’は独立して、リシン(K)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)、オルニチン(Orn)、メチルリシン(MeK)及びアセチルリシン(AcK)、並びにより好ましくはK、R及びH、又はK及びRから選択される。] [0024] X2は好ましくは芳香族アミノ酸であり、より好ましくはフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、tert−ブチルグリシン、シクロヘキシルアラニン、tert−ブチルフェニルアラニン、ビフェニルアラニン及びトリtert−ブチルトリプトファン(特定の実施の形態ではこのリストからFが除外される場合がある)、特にF、W及びY、若しくはW及びY、F及びY若しくはF及びWから選択され、又は特定の実施の形態ではX2はF若しくはW若しくはYであり得る。] [0025] X3及びX3’は好ましくは脂肪族アミノ酸であり、例えば独立してロイシン(L)、イソロイシン(I)、バリン(V)、アラニン(A)、メチオニン(M)及びノルロイシン(Nor)から選択され得る。] [0026] 好ましくはX3及びX3’は両方ともAではなく、より好ましくはX3及びX3’はL、I、V及びMから、さらにより好ましくはL、I及びVから選択される。] [0027] 或る特定の実施の形態において、モチーフとPCNAとの結合は、X2がW又はYである場合に改善され得る。このため一実施の形態では、X2はFではない。しかしながら上記のように、他の実施の形態ではX2はFであってもよい。] [0028] このようにして本発明は、モチーフ[K/R]−[F/Y/W]−[L/I/V/A/M]−[L/I/V/A/M]−[K/R](配列番号28)を含むオリゴペプチド化合物(該オリゴペプチド化合物はPCNAと相互作用可能である)を提供し得る。] [0029] 別の実施の形態において、モチーフは[K/R]−[Y/W]−[L/I/V/A/M]−[L/I/V/A/M]−[K/R](配列番号29)と規定され得る。] [0030] 別の実施の形態において、モチーフは[K/R]−[F/Y/W]−[L/I/V/A]−[L/I/V/A]−[K/R](配列番号30)と規定され得る。] [0031] 別の実施の形態において、モチーフは[K/R]−[Y/W]−[L/I/V/A]−[L/I/V/A]−[K/R](配列番号31)と規定され得る。] [0032] 別の実施の形態において、モチーフは[K/R]−[F/W]−[L/I/V/A/M]−[L/I/V/A/M]−[K/R](配列番号32)と規定され得る。] [0033] 別の実施の形態において、モチーフは[K/R]−[F/W]−[L/I/V/A]−[L/I/V/A]−[K/R](配列番号33)と規定され得る。] [0034] 別の実施の形態において、モチーフは[K/R]−[F/W]−[L/I/V]−[L/I/V]−[K/R](配列番号34)と規定され得る。] [0035] 別の実施の形態において、モチーフは[K/R]−[F/Y/W]−[L/I/V]−[L/I/V]−[K/R](配列番号35)と規定され得る。] [0036] さらに別の実施の形態において、モチーフは[K/R]−[Y/W]−[L/I/V]−[L/I/V]−[K/R](配列番号36)と規定され得る。] [0037] さらに別の実施の形態において、モチーフは[K/R]−F−[L/I/V]−[L/I/V]−[K/R](配列番号37)と規定され得る。] [0038] オリゴペプチド化合物は単離化合物であるのが好ましい。] [0039] 好ましい実施の形態では、オリゴペプチド化合物は配列RFLVK(配列番号2)を有する又はこれを含む。他の好ましい実施の形態では、オリゴペプチド化合物は、KFLLR(配列番号3)、KYLLR(配列番号4)、KWLLR(配列番号5)、KYILR(配列番号6)、KYVLR(配列番号7)、RFLLR(配列番号8)、RYLLR(配列番号9)、RWLLR(配列番号10)、RYILR(配列番号11)、RYVLR(配列番号12)、RFLIR(配列番号13)、RYLVR(配列番号14)、RWLMR(配列番号15)、RYVLR(配列番号16)、RYVIR(配列番号17)、RWLVK(配列番号18)、RYLVK(配列番号19)、RWLIK(配列番号20)、RWIVK(配列番号21)、RWVVK(配列番号22)、RWAVK(配列番号23)、RYVVK(配列番号24)、RYLIK(配列番号25)又はRYLMK(配列番号26)から選択される配列を有する又はこれを含む。これらの特定の配列は例示として挙げられているが、これらは本発明の範囲を限定するものと意図されない。] [0040] 好ましい一実施の形態において、本発明のオリゴペプチド化合物は、特定の細胞型に対してモチーフを標的化し、細胞への化合物の侵入を容易にし、及び/又は化合物を特定の細胞内コンパートメント、好ましくは核に局在化させる、シグナル配列も含む。このためシグナル配列は、オリゴペプチド化合物を任意の所望の位置に、例えば任意の所望の細胞位置又は細胞内位置に局在化する又は代替的に置くのに、方向付け、転位又は輸送するように作用する任意の配列と見なされ得る。好ましい実施の形態では、所望の位置は細胞(すなわち細胞の内側)及び/又は細胞の核である。] [0041] このため、シグナル配列は、オリゴペプチド化合物を細胞に、又は細胞膜を通って(すなわち細胞の内部に)輸送するように作用する配列であり得る。したがってシグナル配列は、タンパク質形質導入ドメイン(PTD)又はタンパク質形質導入配列としても当該技術分野で知られる、いわゆる「細胞透過」配列(又はより具体的には「細胞透過ペプチド」)であり得る。] [0042] したがって上述のように、本発明の好ましい実施の形態は、(i)本明細書で規定のようなAPIMモチーフ(すなわちPCNA相互作用モチーフ)を含むオリゴペプチド化合物と、(ii)細胞透過配列(より具体的には細胞透過ペプチド)とを含む構築物である。] [0043] 細胞透過ペプチド(CPP)技術は近年になって大きく進展しており、様々な細胞透過ペプチドが当該技術分野で既知であり、また説明されている。実に広範なこのようなペプチドが市販されている。細胞透過ペプチドは大きさ、配列及び電荷、実際にはそれらの機能機構(現段階で一部のペプチドでは知られておらず、他のペプチドでは完全に解明されていない)が大きく異なり得るが、原形質膜を通って転位し、付着又は連結部分(いわゆる「カーゴ(cargo)」)を細胞の細胞膜、又はさらに場合によっては核に送達するという共通の能力を共有している。このためCPPはペプチド系の送達ベクターである。] [0044] CPPは、ショウジョウバエ(Drosophila)のホメオボックスタンパク質アンテナペディア(転写因子)等の細胞膜を通って転位することができる天然に存在するタンパク質、HIV−1転写因子TAT等のウイルスタンパク質、及びHSV−1由来のカプシドタンパク質VP22から誘導され得るか、又はCPPは例えば、キメラタンパク質又はポリアルギニン等の合成ポリペプチドから合成的に誘導され得る。上述のように、形質導入効果に関与する単一の機構は存在せず、そのためCPPの設計は異なる構造及び配列に基づき得る。細胞透過ペプチドは、Jarver et al. 2006 Biochimica et Biophysica Acta 1758, pages 260-263にレビューされており、以下の第2表では様々な代表的なペプチドが挙げられている。さらに米国特許第6,645,501号明細書は使用され得る様々な細胞透過ペプチドを記載している。] [0045] ] [0046] アンテナペディア由来のCPP(Antp群)は、アンテナペディアタンパク質の3番目のループに対応し、タンパク質の転位に関与することが分かっている、第2表に示される16−アミノ酸Penetratinの配列に基づき特定の対象となる群を表す。Penetratinは特に薬学的使用を含む送達ビヒクルとして広く開発されており、広範のPenetratin誘導体及び修飾配列が提案及び記載されている。特に、国際公開第91/1891号パンフレット、国際公開第00/1417号パンフレット、国際公開第00/29427号パンフレット、国際公開第2004/069279号パンフレット及び米国特許第6,080,724号明細書が参照され得る。したがって、Penetratinの16−アミノ酸配列は修飾及び/又は切断されていてもよく、又はペプチドが化学的に修飾されていてもよく、又は細胞透過活性を保持しながらレトロ類似体、インベルソ(inverso)類似体若しくはレトロインベルソ類似体を作製してもよい。] [0047] 有利に使用され得る別の群の細胞透過ペプチドはHIV−TAT配列に基づき、HIV−TAT及びその断片は本発明に従って使用するのに好ましい群のCPPを表す。様々なTAT系CPPは米国特許第5,656,122号明細書に記載されている。以下の実施例で使用される例示的なHIV−TATペプチドはRKKRRQRRR(配列番号71)であるが、より長い又は短いTAT断片を使用してもよいことが容易に認識される。] [0048] 上述のように、特定の構造的特徴又は配列モチーフが全てのCPPに共通するというわけではない。しかしながら、様々な群のCPPが例えば両親媒性であり且つ正味正に荷電したペプチドのような特定の特徴により同定され得る。他の群のCPPは高いα−へリックス含量を示す構造を有し得る。別の群は高い塩基性アミノ酸含量を特徴とするペプチドであり得る。このためCPPは、アルギニン、例えば5個〜20個、6個〜15個又は6個〜12個のR残基、例えばR7(配列番号70)、R8(配列番号72)又はR11(配列番号73)等の塩基性アミノ酸のオリゴマー、あるいはQSR8(配列番号74)であり得るか、又はこれを含み得る。] [0049] 高プロリンの両親媒性ペプチドは別の群のCPPであり、プロリン由来のピロリジン環の存在を特徴とするこのようなペプチドは、Pujals et al. 2008 Advanced Drug Delivery Reviews 60, pages 473-484に記載されている。] [0050] 他の開発に成功したCPPとしては、pVEC(Elmquist et al. 2003 Biol. Chem 384, pages 387-393、Holm et al. 2005 Febs Lett. 579, pages 5217-5222)及びカルシトニン由来ペプチド(Krauss et al. 2004 Bioorg. Med. Chem. Lett., 14, pages 51-54)が挙げられる。] [0051] 市販のCPPとしては、Pep−1ペプチド系のChariot(Active Motif, France)、プロテグリンペプチドPG−1系のSyn−Bベクター(Syntem, France)、及びMPGペプチド系のExpress−si Delivery(Genospectra, USA)が挙げられる。] [0052] 公的に利用可能であり且つ報告されているCPPの他に、新規の又は派生したCPPペプチドを既知の又は報告されている基準(例えば上述のような既知のCPP配列又は塩基性アミノ酸含量、α−へリックス含量等の特徴)に基づき設計及び合成してもよい。さらに、無作為に設計した又は他のペプチドを、例えばレポーター分子、例えば検出ラベル又は蛍光タグ等のタグを含有するこのようなペプチドと所望のカーゴ(本発明によるオリゴペプチド化合物)とをカップリング又は付着させること、及び例えばこれらのペプチドを生細胞に添加し、その後例えば共焦点顕微鏡検査を用いて細胞の取り込みを調べることにより構築物が細胞膜を通って転位するかどうかを確かめるために試験することによって、CPP活性に関してスクリーニングすることができる。] [0053] 実際CPPは、実質的にいかなる細胞型も浸透又は侵入する場合が一般的であるが、場合によっては、上首尾の又は効率的な送達は、カーゴの正確な性質(例えばカーゴペプチド配列)及び/又は使用されるCPPに依存的であり得るか、又はこれに応じて変わり得ることが観察される場合がある。最適なペプチド配列及び組合せ等を決定すること、並びにカーゴ及び/又はCPPの配列若しくは構造等を試験及び/又は修飾することは十分当業者の通常の技術内であろう。] [0054] 上述のように、本発明のオリゴペプチド化合物(又は構築物)内に含まれ得るシグナル配列は化合物(又は構築物)を特定の細胞内コンパートメント、特に核に方向付けるシグナルペプチドであり得る。核局在化シグナル(NLS)も同様に当該技術分野で既知であり、また文献で広く説明されており、任意の既知の又は機能的なNLSを使用してもよい。] [0055] したがって、本発明のさらに好ましい実施の形態は、(i)本明細書で規定のようなAPIMモチーフ(すなわちPCNA相互作用モチーフ)を含むオリゴペプチド化合物と、(ii)核局在化シグナルとを含む構築物である。] [0056] NLSは長さ及び/又は配列が異なっていてもよく、広範な特異的なNLS配列が説明されている。しかしながら一般には、正に荷電したアミノ酸(とりわけリシン(K)、アルギニン(R)及び/又はヒスチジン(H))を含むペプチドがNLSとして機能し得ることが見出されている。このため例示的なNLSは、例えば4個〜20個、より具体的には4個〜15個、4個〜12個、4個〜10個又は4個〜8個のアミノ酸を有するペプチドであり得る。ここで、少なくとも4つのアミノ酸(より具体的にはNLSペプチドにおけるアミノ酸残基の少なくとも60%、70%、75%、80%、85%又は90%)が好ましくはK、R又はHから選択される正に荷電したアミノ酸である。このような例示的なNLSは例えば、配列RKRH(配列番号75)を有し得るか、又はこれを含み得る。] [0057] 核局在化シグナル(実際に実験的に決定したNLS配列と予測又は提案されるNLS配列との両方が含まれる)及びNLSを同定する戦略は、Lange et al., J. Biol. Chem. 2007, 282(8), 5101-5105、Makkerh et al., Current Biology 1996, 6(8), 1025-1027、Leslie et al., Methods2006, 39, 291-308、並びにLusk et al. Nature Reviews MCB 2007, 8, 414-420で説明されている。] [0058] 従来のNLSは、1つのストレッチ(一分節(monopartite))又は2つのストレッチ(二分節(bipartite))の塩基性アミノ酸のいずれかから成る。一分節NLSはSV40ラージT抗原NLS(126PKKKRKV132[配列番号76])で例示され、二分節NLSは核質NLS(155KRPAATKKAGQAKKKK170[配列番号77])で例示され得る。一分節NLSコンセンサス配列K−[K/R]−X−[K/R](配列番号78)が提案されており、したがって一実施の形態では本発明によるNLSは、このようなコンセンサス配列(ここでXは任意のアミノ酸である)を含み得るか、又はこれから成り得る。] [0059] 本発明による代表的な二分節NLSは、配列KR−[X]5〜20−KKKK(配列番号79)、例えばKR−X10−KKKK(配列番号80)(ここでXは任意のアミノ酸である)を有し得る。] [0060] 代替的な例示的な二分節NLSは、RKRH−[X]2〜10−KK(配列番号81)、例えばRKRH−X2−KK(配列番号82)、例えばRKRH−II−KK(配列番号83)の形態を取り得る。] [0061] 癌タンパク質c−mycNLSは、9個のアミノ酸残基の内の3つだけが塩基性であるという点で従来のNLSとは異なり(PAAKRVKLD[配列番号84])、このことはNLSを必ずしも上記で与えられるコンセンサス配列又は従来の配列に適合させる必要はないことを示している。Makkerh et al(同上)は塩基性アミノ酸の集団(例えばKKKK[配列番号85])が中性及び酸性の残基に隣接しているNLS配列、例えばPAAKKKKLD(配列番号86)を説明している。] [0062] 例示として与えられ得る他の可能性のあるNLS配列としては、PKKKRKVL(配列番号87)、KKKRK(配列番号88)、KKKRVK(配列番号89)、KKKRKVL(配列番号90)及びRKKRKVL(配列番号91)が挙げられる。既知のNLSの誘導体である任意のNLS、例えばSV40、核質、UNG2又はc−myc NLSを使用してもよい。] [0063] 推測の、提案された又は予測されたNLS配列を、当該技術分野で既知であり、且つ説明されている原理及びアッセイを使用してNLS活性に関して試験することができる。例えば、候補NLS配列を所望のカーゴに付着させ(この場合、本明細書で規定のような本発明によるオリゴペプチド)、構築物に検出可能なレポーター分子(例えば可視化し得るタグ又はラベル、例えば蛍光ラベル)を与え、構築物を試験細胞に接触させることができる。それから細胞における構築物の分布を決定することができる。] [0064] したがって概要としては、当業者は好適なシグナル配列を知っているが、例示として本明細書中の以下で言及される。細胞透過ペプチド配列の例としては、アンテナペディアタンパク質のホメオドメインの3番目のへリックスに対応する16−アミノ酸ペプチドであるPenetratin(商標)、R6−Penetratin(アルギニン残基をPenetratinのN末端に加えた)等の高Rタグ、及びGRKKRRQRRRPPQQ(配列番号92)等のHIVTatタンパク質の誘導体が挙げられる。核局在化配列の例としてはSV40タンパク質誘導体KKKRK(配列番号93)が挙げられる。] [0065] 好ましい本発明による構築物は、(i)本明細書で規定のようなAPIMモチーフを含むオリゴペプチド化合物と、(ii)核局在化シグナルと、(iii)細胞透過シグナル配列とを含む。] [0066] 本発明による構築物の分離した要素又は構成要素を任意の順番で含有しても又は提示してもよいが、上記の順番(例えばAPIMオリゴペプチド化合物−CPP、APIMオリゴペプチド化合物−NLS、APIMオリゴペプチド化合物−NLS−CPP)が好ましい。] [0067] さらに、本発明のオリゴペプチド化合物又は構築物は2つ以上のPCNA相互作用モチーフを含有し得る。このため代替的に、本発明による構築物はPCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物を2つ以上含有し得る。構築物又はオリゴペプチド化合物は例えば、1個〜10個、例えば1個〜6個、又は1個〜4個又は1個〜3個、又は1つ若しくは2つのモチーフを含有し得る。シグナル配列も含有する構築物内に、このようなモチーフは、離間していても、又は選択に従い位置していてもよい、例えばこのようなモチーフは共に集団化してもよく、又はこのようなモチーフはシグナル配列要素で分離されていてもよい:例えばモチーフ−NLS−モチーフ−CPP;又はモチーフ−NLS−モチーフ−モチーフ−CPP;又はモチーフ−モチーフ−NLS−CPP等。] [0068] 本発明による構築物の構成要素又は要素を、当該技術分野で既知の技法に従って任意の所望の又は従来のやり方で互いに付着又は連結させてもよい。このため、構成要素又は別々の部分は、例えば既知の化学的なカップリング技術を使用して化学的に連結若しくは共役してもよく、又は構築物を、遺伝子工学技法、例えば融合タンパク質を形成する技法を使用してまとめて単一的に形成してもよく、又は構築物を、例えばペプチド合成技法を使用して、まとめて単純に合成してもよい。] [0069] 別々の部分又は構成要素は、互いに直接的に連結していてもよく、又はこれらは1つ若しくは複数のリンカー(又はスペーサ)配列によって間接的に連結していてもよい。このため、リンカー配列は、構築物の2つ以上の個々の部の間に入っても、若しくはこれを分離してもよく、又はオリゴペプチド構築物においてモチーフ要素を分離してもよい。リンカー配列の正確な性質は重要ではなく、リンカー配列は可変長及び/又は配列であり得る、例えばリンカー配列は、0個〜40個、より具体的には0個〜20個、0個〜15個、0個〜12個、0個〜10個、0個〜8個又は0個〜6個、0個〜4個又は0個〜3個の残基、例えば1個、2個若しくは3個、又はそれ以上の残基を有し得る。代表的な例として、存在する場合、リンカー配列は1個〜15個、1個〜12個、1個〜10個、1個〜8個、1個〜6個又は1個〜4個の残基等を有し得る。残基の性質は重要ではないが、残基は例えば、任意のアミノ酸、例えば中性アミノ酸若しくは脂肪族アミノ酸であり得るか、又は代替的に残基は疎水性又は極性又は荷電又は構造形成、例えばプロリンであり得る。中性及び/又は脂肪族のアミノ酸の短い(例えば1個〜6個の)配列を含む、広範の異なるリンカー配列が有用であることが分かっている。] [0070] したがって例示的なリンカー配列としては、任意の単一のアミノ酸残基、例えばA、I、L、V、G、R、Q、T若しくはW、又はこのような残基から成るジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド若しくはヘキサペプチドが挙げられる。] [0071] 代表的なリンカーとして、I、II、IL、R、W、WW、WWW、RIL、RIW、GAQ、GAW、VAT、IILVI(配列番号94)、IILVIII(配列番号95)等が言及され得る。] [0072] 異なる要素間のリンカーは同じであっても又は異なっていてもよい。] [0073] 一実施の形態において、配列MDRWLVKRILVATK(配列番号96)又はMDRWLVKRILKKKRKVATKG(配列番号97)を有する又はこれを含むオリゴペプチド化合物が提供される。] [0074] 他の代表的な本発明の化合物(又はより具体的には構築物)としては、 MDRWLVKGAQPKKKRKVLRQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号98)、 MDRWLVKGAWKKKRVKIIRKKRRQRRRK(配列番号99)、 MDRWLVKGAWKKKRKIIRKKRRQRRRG(配列番号100)、 MDRWLVKGAWKKKRKIIRKKRRQRRRK(配列番号101)、 MDRWLVKRIWKKKRKIIRKKRRQRRRK(配列番号102)、 MDRWLVKWWWKKKRKIIRKKRRQRRRK(配列番号103)、 MDRWLVKWWRKRHIIKKRKKRRQRRRK(配列番号104)、 MDRWLVKRIWKKKRKIIRRRRRRRRRRRK(配列番号105)、 MDRWLVKRIWKKKRKIIRQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号106)、 MDRFLVKGAWRKRHIIKKRKKRRQRRRK(配列番号107)、 MDRWLVKWKKKRKIRRRRRRRRRRRK(配列番号108)、 MDRWLVKWKKKRKIRKKRRQRRRK(配列番号109)、 MDRWLVKWRKRHIRKKRRQRRRK(配列番号110)、 Ac−MDRWLVKGAWRKRHIRKKRRQRRRK(配列番号111)、 Ac−MDRWLVKWKKKRKIRRRRRRRRRRR(配列番号112)、 Ac−MDRALVKWKKKRKIRRRRRRRRRRR(配列番号113)、 Ac−MDRWLVKKKKRKRRRRRRRRRRRK(配列番号114)、 Ac−MDRWLVKKKKRKRRRRRRRRRRR(配列番号115)、 MDRWLVKRIWKKKRKIIRWLVKWWWRKKRRQRRRK(配列番号116)、 KRRRQRRKKRIIKRKKKWWWKVLWRDM(配列番号117)が挙げられる。] [0075] 配列番号98〜配列番号117に記載のような配列を有するオリゴペプチド化合物を以下の実施例6の第3表に示し、この表は構築物を構成する別々の構成要素(すなわちモチーフ含有配列、リンカー、NLS、CPP等)を示す。したがって、特定されるように配列番号98〜配列番号117は、配列が異なり得るリンカー配列で連結する場合もある、モチーフ含有配列、NLS及びCPPを少なくとも1つ含む構築物を表すことが分かる。配列番号117(RI−MDR26−3)はD−アミノ酸から構成されるレトロインバース(retro-inverse)ペプチドである。SV40又はUNG2 NLS配列に基づきNLS配列を、またPenetratin、HIV−TAT又は高Rペプチドに基づきCPP配列を使用する。] [0076] さらなる態様において、本発明は、上記で規定のように配列番号1を有する又はこれを含む(例えば配列番号1の)ペプチドをコードする核酸分子を提供する。このような核酸分子の相補体も提供される。好ましくは、核酸分子は、配列番号1を有する又はこれを含む(例えば配列番号1の)ペプチドをコードする配列と操作可能に連結したプロモータ配列を含む。好ましい実施の形態では、核酸分子は上記で規定のようにシグナル配列もコードする。] [0077] 本発明の核酸分子は、少なくとも15個のヌクレオチドを含み、好ましくは800個以下のヌクレオチド、より好ましくは700個、650個、600個、550個、500個、450個、400個、350個、300個、250個、200個、150個、100個又は50個以下のヌクレオチドを含む。核酸分子は単離分子であるのが好ましい。] [0078] さらなる態様は、本明細書で規定のような核酸分子を含むベクターに関する。ベクターは、複製起点、抗生物質耐性等の選択可能なマーカー、及び/又は多重クローニング部位のような通常ベクターで見出されるさらなる要素も含有し得る。ベクターはさらに発現ベクターであってもよく、核酸分子の発現のためにさらなる要素、例えば転写及び/又は翻訳の制御又は調節要素を含んでいてもよい。このような制御要素、例えばプロモータ、リボソーム結合部位、エンハンサ、ターミネータ等は当該技術分野で既知であり、広く説明されている。] [0079] ベクターは例えばプラスミド又はウイルスであってもよく、好ましくはベクターはレトロウイルス、アデノウイルス及びアデノウイルス随伴ウイルスから選択される。] [0080] 別の態様において、上記のような核酸分子及び/又はベクターを含有する組換え宿主細胞が提供される。宿主細胞は動物細胞、好ましくは哺乳動物細胞、最も好ましくはラット、ネズミ又はヒトの細胞である。] [0081] 「組換え」とは、核酸分子及び/又はベクターが宿主細胞に導入されていることを意味する。宿主細胞は自然状態で核酸分子の内因性コピーを含有しても又は含有していなくてもよいが、核酸分子及び/又はベクターの外因性又はさらなる内因性のコピーが導入されているという点で組換えである。] [0082] さらなる態様において、薬理学的に(又は薬学的に)許容される賦形剤と共に、本明細書で規定のようなオリゴペプチド化合物、本明細書で規定のような核酸分子、及び/又は本明細書で規定のようなベクターを含む、医薬組成物が提供される。] [0083] 賦形剤としては、当該技術分野で既知の任意の賦形剤、例えば任意の担体若しくは希釈剤、又は緩衝剤、抗酸化剤、キレート剤、結合剤、コーティング、崩壊剤、充填剤、香味剤、着色剤、流動促進剤、滑沢剤、保存剤、吸着剤及び/又は甘味剤等の任意の成分又は薬剤が挙げられ得る。] [0084] 賦形剤は例えば、乳酸、デキストロース、メタ重亜硫酸ナトリウム、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、微結晶セルロース、ラクトース、デンプン、キトサン、α化デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、デキストレート(dextrates)、デキストリン、デキストロース、リン酸二カルシウム二水和物(dibasiccalcium phosphate dihydrate)、リン酸三カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、粉末セルロース、塩化ナトリウム、ソルビトール及び/又はタルクから選択され得る。] [0085] 医薬組成物は、当該技術分野で既知の任意の形態で、例えば錠剤、カプセル、コート錠、液体、懸濁剤、タブ、サシェ剤、インプラント、吸入剤、粉末、ペレット、エマルション、凍結乾燥剤(lyophilisate)、発泡剤、スプレー、軟膏、エマルション、香油、硬膏又はそれらの任意の混合物として提供され得る。医薬組成物は、例えば胃液耐性調製物として、及び/又は持続作用形態で提供され得る。医薬組成物は、経口、非経口、局所、直腸、生殖器、皮下、経尿道、経皮、鼻腔内、腹腔内、筋肉内及び/又は静脈内投与、及び/又は吸入による投与に適した形態であり得る。] [0086] 代表的な実施の形態において、医薬組成物はリポソーム投与に適した形態であり、このため好ましくは医薬組成物を含有するリポソームが提供される。リポソームが使用される場合、医薬組成物がさらなる賦形剤を含む必要はなく、このため本明細書で規定のようなオリゴペプチド化合物、本明細書で規定のような核酸分子、及び/又は本明細書で規定のようなベクターを含むリポソームも提供される。] [0087] データベース検索を利用して、本発明者らは、200個を超える他のタンパク質(その多くがDNA修復、維持及び細胞周期調節、例えば転写、複製、リン酸化、ユビキチン化、損傷乗り越え合成、姉妹染色分体凝集及び細胞周期調節にかかわる)において新規のPCNA結合モチーフの存在を発見した(第1表及び実施例4を参照されたい)。これらのタンパク質には以下のものが含まれる: 停滞した転写の進行に重要なタンパク質である、TFIIS伸長因子で見出される保存されたN末端ドメインIを含有するため、本発明者らがTFIIS様タンパク質と名付けた機能未知のタンパク質。このタンパク質はその7個のN末端アミノ酸内にモチーフを含有する。] [0088] 細胞周期制御及び増殖に重要な多機能な転写因子TFII−I。TFII−Iを過剰発現する細胞は、γ−H2AX中心(DNA二本鎖切断に対するマーカー)の持続を増大させ、このことはDNA修復におけるTFII−Iの役割を示唆している。このタンパク質は4つのモチーフを含有する。] [0089] 複製後のDNA脱連環及びDNA分離において機能するDNAトポイソメラーゼII α(Topo II α)。このタンパク質は1つのモチーフを含有する。] [0090] へリックスのねじれを認識する鍵となるヌクレオチド除去修復タンパク質XPA。このタンパク質は1つのモチーフを含有する。] [0091] 適切な中心体機能及び染色体分離に重要であることが分かっている相同組換えタンパク質であるRAD51B。このタンパク質は1つのモチーフを含有する。] [0092] ファンコーニ貧血コア複合体タンパク質(FANCC)。FAコア複合体は、架橋剤のDNA修復を調節する、DNA損傷によって活性化されるシグナル伝達経路にかかわることが分かっている。このタンパク質は1つのモチーフを含有する。] [0093] 少なくとも1つのモチーフを含有することが見出されているさらなるタンパク質が第1表に挙げられる。] [0094] 理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らの研究結果は、PCNAがその通常のパートナーの少なくとも1つと相互作用するのを妨げることにより、細胞を細胞増殖抑制剤の効果に対して増感させることができることを示している。このようにして、細胞増殖抑制剤の効果は調整することができる。例えば、修復タンパク質(例えばhABH2)とPCNAとの相互作用を阻害し、これによりDNA修復を阻害して、結果としてDNA損傷における細胞増殖抑制剤の効果を増大させることができる。] [0095] このためさらなる態様において、障害若しくは病態、特に細胞の成長を阻害することが望まれる障害若しくは病態、例えば過剰増殖性障害、又は細胞増殖抑制療法を必要とする、若しくは細胞増殖抑制療法に対して反応性がある任意の病態の治療方法であって、本明細書で規定のようなオリゴペプチド化合物、本明細書で規定のような核酸分子、及び/又は本明細書で規定のようなベクターを、それを必要とする被験体に投与すること(特に有効量投与すること)を含む、治療方法が提供される。] [0096] 別の態様において、治療法に使用される、特に細胞の成長を阻害することが望まれる障害若しくは病態、例えば過剰増殖性障害の治療に、又は細胞増殖抑制療法(すなわち細胞増殖抑制剤の使用)を伴う任意の治療に使用される、本明細書で規定のようなオリゴペプチド化合物、本明細書で規定のような核酸分子、及び/又は本明細書で規定のようなベクターが提供される。したがってこの化合物等は、細胞増殖抑制療法を必要とする、又は細胞増殖抑制療法に対して反応性がある任意の病態の治療に使用することができる。] [0097] 別の態様において、細胞の成長を阻害することが望まれる障害若しくは病態、例えば過剰増殖性障害の治療に、又は細胞増殖抑制療法を伴う治療に使用される薬物の製造における、本明細書で規定のようなオリゴペプチド化合物、本明細書で規定のような核酸分子、及び/又は本明細書で規定のようなベクターの使用が提供される。] [0098] 上述のように、本発明につながる驚くべき研究結果の1つは、広範の様々な細胞増殖抑制薬の効果を、PCNA相互作用モチーフを有するペプチドの使用によって増強又は促進し、それによりPCNAと、広範であると推測されるタンパク質、例えばDNAの修復及び複製、並びに細胞周期の進行等にかかわるタンパク質との相互作用を阻害することができることである。このことにより、この細胞増殖抑制剤の効果を増強させるため、又は細胞をその効果に対して増感させるため、任意のPCNA相互作用分子を細胞増殖抑制剤と併用してもよいという一般的提案が導かれる。] [0099] したがってさらに別の態様において、細胞の成長を阻害することが望まれる障害若しくは病態、例えば過剰増殖性障害の治療方法、又は細胞増殖抑制療法を伴う治療方法であって、PCNAと相互作用可能なオリゴペプチド化合物、又はPCNAと相互作用可能なオリゴペプチド化合物をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を、それを必要とする被験体に投与すること、及び別々に、同時に又は連続して細胞増殖抑制剤を、それを必要とする被験体に投与することを含む、治療方法が提供される。] [0100] 代替的に考えると、細胞の成長を阻害することが望まれる障害若しくは病態、例えば過剰増殖性障害の治療において、又は細胞増殖抑制療法を伴う治療において細胞増殖抑制剤と併用される、PCNAと相互作用可能なオリゴペプチド化合物、又は該オリゴペプチド化合物をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子が提供される。] [0101] このため、細胞の成長を阻害することが望まれる障害若しくは病態、例えば過剰増殖性障害の治療において、又は細胞増殖抑制療法を伴う治療において細胞増殖抑制剤と併用される薬物の製造における、PCNAと相互作用可能なオリゴペプチド化合物、又は該オリゴペプチド化合物をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子の使用が提供される。] [0102] このため一実施の形態において、薬物はさらに細胞増殖抑制剤を含み得る。] [0103] 薬物はオリゴペプチド化合物又は核酸分子と細胞増殖抑制剤との両方を含む単一組成物の形態であり得る、又は薬物は別々の(例えば同時又は連続)投与のためにこれらを含有するキット又は製品の形態であり得る。] [0104] このため、細胞の障害、例えば過剰増殖性障害の治療のための薬物の製造における、又は細胞増殖抑制療法を伴う治療における、PCNAと相互作用可能なオリゴペプチド化合物、又は該オリゴペプチド化合物をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子の使用であって、薬物が細胞増殖抑制剤と別々に、同時に又は連続して投与される、PCNAと相互作用可能なオリゴペプチド化合物、又は該オリゴペプチド化合物をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子の使用も提供される。] [0105] 別の態様において本発明は、細胞の成長を阻害することが望まれる障害若しくは病態、例えば過剰増殖性障害の治療において又は細胞増殖抑制療法を伴う治療において、別々に、同時に又は連続して使用される複合調製物としての、細胞増殖抑制剤と共にPCNAと相互作用可能なオリゴペプチド化合物、又は該オリゴペプチド化合物をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を含有する製品を提供する。] [0106] PCNAと相互作用可能なオリゴペプチド化合物、好ましくは配列番号1を含む又は有するオリゴペプチド化合物は、細胞増殖抑制剤の効果を調整させる又は促進するのに使用することができる。] [0107] したがって本発明によるオリゴペプチド化合物(構築物を含む)は、細胞の成長を阻害することが望まれる(又は有益であり得る)任意の病態又は臨床状況において、治療上の有用性を有する。] [0108] 「阻害する」という用語は、細胞成長の任意の低減又は減少、及び細胞成長の防止又は廃止を含むように広範に使用される。したがって「阻害」は、細胞成長の低減又は防止を含む。これは、当業者に既知の技法により確定することができるように、細胞数、サイズ(例えば、細胞を含有する組織のサイズ)、細胞生存度及び/又は細胞死等を確定又は評価することのような任意の適切な又は都合の良い手段により確定することができる。] [0109] 本明細書で言及する場合、細胞の「成長」はまた、特に細胞の増殖を含む細胞成長の任意の態様を含むように、広範に使用される。] [0110] したがってオリゴペプチド化合物は、細胞成長(特に細胞増殖)の低減に反応性がある任意の病態(本明細書では任意の障害又は任意の臨床状況を含むように広範に使用される)の治療において使用することができる。したがってオリゴペプチド化合物は、細胞成長(又は増殖)を標的とする任意の治療法(又は治療)において有用性が見出される。換言すれば、化合物は、細胞増殖を阻害することが望まれる又は好都合である任意の治療上の用途において使用することができる。] [0111] 本明細書で使用する場合、「治療」という用語は、臨床的病態の管理において有益な任意の効果又は工程(又は処置)を広範に表し、したがって治療法としての治療と予防法としての治療との両方を含む。治療は、治療前の病態若しくは症状との関係で、治療されている病態若しくはその1つ又は複数の症状を低減すること、軽減すること、改善すること、その発症を遅らせること、若しくは排除すること、又はいずれにせよ被験体の臨床状態を向上させることを含み得る。治療は、治療プログラム又は計画に寄与する、又はその一部分である任意の臨床的な工程又は処置を含み得る。予防法的治療は、例えば予防法的治療前の病態又は症状との関係で、病態又は病態の開始、又はその1つ又は複数の症状を遅延化させること、制限すること、低減すること、又は予防することを含み得る。したがって予防法は、病態又はその症状の発生又は発症の絶対的な予防と、病態若しくは症状の開始若しくは発症の任意の遅延化、又は病態若しくは症状の発症若しくは進行に対する低減若しくは制限との両方を明確に含む。したがって本発明による治療は、細胞の成長、又は身体若しくは細胞集団のサイズの増大(例えば組織、腫瘍又は成長における)を止める(killing)こと、阻害すること、又は遅らせること、細胞数を低減すること又は細胞の拡散(例えば別の解剖学的部位への)を防止すること、細胞成長のサイズを低減すること等を含む。「治療」という用語は、治癒、又は細胞成長若しくは細胞の成長(cell growth, or a growth of cells)の完全な廃止若しくは排除を示唆しない。] [0112] 本発明の治療上の用途及び有用性は概して細胞増殖を阻害することを伴い得るので、任意の増殖性細胞が、本明細書で開示及び包含される治療法及び有用性において標的となり得る。かかる増殖性細胞は、健常細胞又は疾患細胞、及び増殖が起こる任意の組織の細胞を含み得る。例えば、かかる細胞は、特に、悪性及び非悪性の新生物細胞の両方を含む新生物細胞、並びに免疫系の細胞(免疫細胞)、概して造血系の細胞、又は皮膚細胞を含み得る。] [0113] 異常な又は不要な細胞成長を伴う障害又は病態を細胞増殖抑制剤で治療することができ、細胞増殖抑制剤は細胞成長及び増殖を低減又は防止することが望まれる任意の状況(細胞を死滅させる又は切除することが望まれる状況を含む)において使用することができる。したがって、代替的に上で述べたように、本発明のオリゴペプチド化合物(構築物を含む)は、細胞増殖抑制剤の使用を伴う(又はこれを含む)任意の治療方法において使用することができる。これは、細胞増殖抑制剤に反応性がある任意の病態、又は細胞増殖抑制剤で治療することができる、若しくは細胞増殖抑制剤の使用を必要とする任意の病態の治療を含み得る。] [0114] 過剰増殖性障害の治療は、特に関心が持たれる一態様を表す。「過剰増殖性障害」という用語は、増大した、望ましくない、又は不要な細胞の増殖を伴う任意の障害又は病態を含むように、本明細書で広範に使用される。したがって、包括的に又は特定の文脈においてに関わらず、例えば正常細胞若しくは健常細胞、又は問題となっている病態の非存在下における細胞との関係で(例えば健常被験体若しくは対照被験体と比較して若しくはそれとの関係で、又は同じ被験体における健常組織若しくは非罹患組織から採取した細胞と比較して若しくはそれとの関係で)細胞の増殖が増大している病態だけでなく、正常状態に対して細胞増殖が増大しておらず(又は著しく若しくは有意に増大しておらず)、起こる増殖が不要な又は望ましくない病態も含まれる。これは、例えば「正常な」応答、例えば免疫応答又は炎症性応答等(換言すれば、特定の(例えば正常な)状況において起こり得るがそれにもかかわらず不要であり得る「正常な」応答)において起こり得る不要な又は望ましくない細胞の増殖を含み得る。かかる不要な増殖性応答は、例えば、不要な炎症性応答、又は不要な免疫応答、例えば自己免疫応答若しくはアレルギー反応等をもたらす細胞の増殖であり得る。] [0115] したがって本発明により治療され得る過剰増殖性障害は、炎症(より具体的には炎症性障害若しくは病態、又は炎症を伴う、若しくは炎症と関連する、若しくは炎症を特徴とする病態)、及び自己免疫障害若しくは病態、又は自己免疫成分を有する障害若しくは病態を明確に含む。] [0116] 過剰増殖性障害は、自律的に成長する能力を有する細胞、すなわち正常な調節機構とは無関係に生存及び再生する細胞の増殖を伴い得る(がこれらに限定されない)。したがって過剰増殖性障害は新生物障害であってもよく、上で示したようにこれは悪性又は非悪性の障害であり得る。] [0117] 過剰増殖性細胞は、病理学的なもの(すなわち正常細胞でなく、且つ疾患状態と関連する)、又は非病理学的なもの(すなわち正常でないが疾患状態と関連する)に分類することができる。] [0118] 病理学的な過剰増殖性細胞は、以下の疾患状態又は障害と関連し得る、又はこれを特徴とし得る:再狭窄、糖尿病性腎症、甲状腺過形成、グレイヴズ病、乾癬、前立腺肥大症、Li−Fraumenti症候群及び癌(任意の腫瘍又は悪性腫瘍を含む)。] [0119] 非病理学的な過剰増殖性細胞の例は、乳汁分泌の発達時の乳管上皮細胞、また創傷修復と関連する細胞を含む。] [0120] 本発明の化合物は、かかる障害、並びに糖尿病性網膜症及び末梢血管疾患を含む疾患等の治療に有用であり得る。] [0121] 上で示したように過剰増殖性障害は、悪性又は非悪性の新生物障害であり得る。前癌状態障害及び非新生物障害も含まれる。前癌状態障害又は非新生物障害又は非悪性過剰増殖性障害の例は、骨髄異形成障害、子宮頸部上皮内癌、家族性腸ポリープ症(例えばガードナー症候群)、口腔白板症(oral leukoplasias)、組織球増殖症、ケロイド、血管腫、過剰増殖性動脈狭窄、炎症性関節炎、過角化症、及び関節炎を含む丘疹鱗屑性発疹を含む。疣贅及びEBV誘導性疾患(例えば感染性単核球症)等のウイルス誘導性過剰増殖性疾患、瘢痕形成等も含まれる。] [0122] したがって過剰増殖性障害は、例えば新生物障害、例えば癌、乾癬性関節炎、関節リウマチ、胃過剰増殖性障害、例えば炎症性腸疾患、乾癬を含む皮膚障害、ライター症候群、毛孔性紅色粃糠疹及び過剰増殖性変異型の角質化障害から選択される任意の過剰増殖性障害であり得る。] [0123] 癌は、特に関心が持たれる過剰増殖性障害を表し、例えば充実性腫瘍及び血液学的癌を含む全ての種類の癌が含まれる。代表的な種類の癌は、子宮頸部癌、子宮癌、卵巣癌、膵臓癌、腎臓癌、胆嚢癌、肝臓癌、頭頸部癌、扁平上皮細胞癌、胃腸癌、乳癌、前立腺癌、精巣癌、肺癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病(例えば急性リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病及び慢性骨髄性白血病)、脳癌(例えば星状細胞腫、神経膠芽腫、髄芽細胞腫)、神経芽腫、肉腫、大腸癌、直腸癌、胃癌、肛門癌、膀胱癌、膵臓癌、子宮内膜癌、形質細胞腫、リンパ腫、網膜芽細胞腫、ウイルムス腫瘍、ユーイング肉腫、黒色腫、及び他の皮膚癌を含む。] [0124] 洞腫瘍、尿道癌及び尿生殖器癌、食道癌、骨髄腫、内分泌癌、骨肉腫、血管肉腫、及び線維肉腫、並びに悪性又は良性の末梢神経系又は中枢神経系の任意の腫瘍(神経膠腫及び神経芽腫を含む)にも言及することができる。] [0125] 自己免疫障害又は疾患は、特に関心が持たれるさらなる病態を表し、例えば関節リウマチ、多発性硬化症、免疫障害、例えば全身性エリテマトーデス(SLE;ループス)、又は重症筋無力症を含む。] [0126] 一般的に言って、血液学的障害、又は必ずしも悪性若しくは癌性ではない血液若しくは骨髄の疾患(例えば種々の悪液質、又は形成異常、非悪性過形成(hyperplasis)、肉芽腫(agranuloma)又は意義不明の単クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS))にも関心が持たれる。したがって血液若しくは骨髄細胞又はそれらの前駆体の不要な、又は望ましくない、又は異常な増殖を伴う任意の病態を、本発明により治療することができる。] [0127] 特に言及することができる他の病態は、新生物性髄膜炎、及び骨髄増殖性疾患、例えば真性赤血球増加症(過剰な赤血球が産生される場合に起こる)を含む。] [0128] 種々の病態は、炎症の結果として起こってもよく、又はそうでなくとも炎症若しくは自己免疫疾患と関連していてもよい。かかる病態も本発明により治療することができる。硬化性粘液水腫及び丘疹性ムチン沈着症、アミロイドーシス及びヴェグナー肉芽腫に特に言及することができる。] [0129] 上で示したように、本発明の化合物は、細胞増殖抑制剤の効果を増加させる、又は促進することができる。したがって、本発明の化合物は、細胞増殖抑制剤を使用することができる任意の治療上の用途において有用性が見出され得る。これは、疾患細胞以外のものを含み得る細胞を死滅させる又は切除することが望まれる任意の状況を含み得る。特に、かかる状況は、移植の前に骨髄を切除することが望まれる場合に生じる。したがって本発明の化合物は、骨髄除去、特に移植(例えば骨髄移植又はより包括的には造血性幹細胞移植(HSCT)であり得る)前の骨髄除去において使用することができる(造血性幹細胞は、骨髄からと同様に、血液、例えば末梢血液から得る又は導くこともできる)。] [0130] 幹細胞移植は、悪性又は非悪性であってもよく、或る特定の他の種類の癌、例えば充実性腫瘍癌、例えば神経芽腫、線維形成性(Demoplastic)小円形細胞癌、ユーイング肉腫及び絨毛癌であってもよい血液又は骨髄の疾患又は病態(すなわち血液学的病態又は障害)の治療に使用することができる。血液学的悪性腫瘍は、白血病、リンパ腫(ホジキン及び非ホジキン)、及び骨髄腫を含む。非悪性血液学的障害は、食細胞障害(例えば骨髄形成異常)、貧血(例えば重度の形成不全、若しくは再生不良性貧血)、及び骨髄増殖性障害(例えば真性赤血球増加症及び本態性血小板増加症)を含む。幹細胞移植により治療され得る他の後天性の病態は、代謝障害、例えばアミロイドーシス、及び環境誘導性疾患、例えば放射線中毒を含む。幹細胞移植は、先天性障害、例えば種々のリソソーム蓄積症、免疫不全症、及び非悪性血液学的障害、例えば貧血、血球減少症、血球貪食症候群、ヘモグロビン異常症、鎌状赤血球症、及びβ重症型サラセミアの治療に使用することもできる。] [0131] 放射線療法(radiotherapy)(放射線療法(radiation therapy)及び放射線腫瘍学としても既知である)は、上で説明した過剰増殖性障害を含む種々の病態の治療において使用することができる。「放射線療法」は、DNA鎖を構成する原子を直接的に又は間接的に電離することにより、細胞のDNAを損傷することができる電離放射線の使用を意味する。間接的な電離は、水の電離の結果として起こり、フリーラジカル、特にヒドロキシルラジカルを形成し、その後DNAを損傷する。放射線療法の最も一般的な形態では、放射線の効果のほとんどはフリーラジカルを介する。] [0132] 持続的な(persistent)DNA二本鎖切断、又はプログラムされた細胞死の活性化によりもたらされる細胞傷害効果のために、放射線療法は、癌の治療において、及び病理学的組織の切除のために有用である。電離放射線は、腫瘍細胞及び癌細胞等の過剰増殖性細胞を、in vivo及びin vitroの両方で、アポトーシスによる細胞死に至らしめる。] [0133] 不運にも放射線療法は、周囲の正常組織を損傷する許容不可能な高いリスクを伴わずに腫瘍細胞を死滅させるのに十分に高線量の局所放射線を送達することができないことが多いので、患者由来の癌細胞を完全に根絶することはできないことが多い。細胞が放射線誘導性細胞死に対して広く変動する感受性を示すこと、また電離放射線がホスファチジルイノシトール3−キナーゼ/Akt(PI3K/Akt)及びマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)シグナル伝達経路を介して生存促進性(pro-survival)応答機構を活性化することができることも知られている。したがって、電離放射線の効力に対して細胞を増感することにより放射線療法の有効性を増強する必要性が存在する。] [0134] したがって、本発明の化合物は、かかる増感効果をもたらすために、換言すれば放射線療法の効果を増強するために(若しくは代替的に言えば増大させる、増加させる、若しくは促進するために)、又は被験体(若しくはより具体的には被験体中に存在し得る細胞)を放射線療法の効果をより受けやすいものとするために、使用することができる。したがって、放射線療法が使用される任意の治療上の用途において有用性を見出すことができる。これは、疾患細胞以外のものを含み得る細胞を死滅させる又は切除することが望まれる任意の状況を含み得る。] [0135] したがって本発明の化合物は、電離放射線のDNA損傷効果に対する細胞の増感剤として使用することができる。「増感剤」は、細胞に対する電離放射線のDNA損傷効果を増強するのに使用される本発明の化合物を意味する。これは、内在性の細胞のDNA修復機構の阻害により達成することができる。] [0136] したがって、本発明は、放射線療法と併用される、PCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物(より具体的には、本明細書で規定のようなPCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物)、又は上記PCNA相互作用モチーフをコードする配列を含む核酸分子を包含する(ここで化合物は放射線療法と別々に、同時に又は連続して投与される)。化合物と共に放射線療法が、放射線療法に反応性がある、又は放射線療法を必要とする任意の病態の治療において施行され得る。したがって本発明の化合物又は構築物は、細胞の成長を阻害することが望まれる障害若しくは病態、例えば過剰増殖性障害の治療において、又は放射線療法を伴う任意の治療において、使用することができる。] [0137] 代替的に規定すると、本発明は、放射線療法のための増感剤としての、PCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物(より具体的には、本明細書で規定のようなPCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物)、又は上記PCNA相互作用モチーフをコードする配列を含む核酸分子を提供する(ここで化合物は、放射線療法と別々に、同時に又は連続して投与される)。] [0138] 本発明のこれらの態様は、放射線療法に対して被験体(又はより具体的には上記被験体中の細胞若しくは組織)を増感する方法であって、本明細書で規定のような本発明のオリゴペプチド化合物、特に放射線療法に対して上記被験体(又は上記細胞若しくは組織)を増感するのに有効な量の上記化合物を上記被験体に投与することを含む、方法も提供する。] [0139] 本発明のこの態様は、被験体を治療する方法であって、本明細書で規定のような本発明のオリゴペプチド化合物と共に放射線療法を上記被験体に施行することを含む、方法を提供すると見ることもできる。より具体的にはかかる方法は、放射線療法に反応性がある、若しくは放射線療法を必要とする障害若しくは病態、若しくは細胞の成長を阻害することが望まれる障害若しくは病態の治療方法、又は放射線療法を伴う治療方法であり得る。] [0140] 本発明は、従来の外部ビーム放射線療法、定位的放射線療法、仮想シミュレーション(Virtual simulation)、3次元コンフォーマル放射線療法、強度調整放射線療法及び放射性同位体療法(RIT)を含むがこれらに限定されない全ての種類の放射線療法を意図する。] [0141] したがって本明細書で列挙した態様のいずれかの好ましい一実施の形態では、本明細書で規定のようなオリゴペプチド化合物、核酸分子及び/又はベクターは、放射線療法と共に(同時に、別々に又は連続して)使用される。] [0142] 本明細書で列挙した態様のいずれかのさらに好ましい一実施の形態では、本明細書で規定のようなオリゴペプチド化合物、核酸分子及び/又はベクターは、細胞増殖抑制剤と共に(同時に、別々に又は連続して)使用される。] [0143] 「細胞増殖抑制剤」は、動物細胞の成長及び/又は増幅(複製/増殖)を阻害又は抑制することができる薬剤を意味する。] [0144] 細胞増殖抑制剤としては、細胞傷害剤、抗新生物剤、及び腫瘍学的用途又は血液学的用途に適応し得る任意の薬剤が含まれる。したがって、化学療法の治療プロトコルにおいて使用される薬剤(「化学療法剤」)が含まれる。] [0145] 細胞増殖抑制剤は、通常その作用機構に従い異なる分類に群分けされ、これらの分類の全てが、本明細書では意図される。したがって、細胞増殖抑制剤は、アルキル化剤、架橋剤、インターカレート剤、ヌクレオチド類似体、紡錘体形成の阻害剤、及び/又はトポイソメラーゼI及び/又はIIの阻害剤であり得る。他の種類又は分類の薬剤は、抗代謝剤、植物アルカロイド及びテルペノイド、又は抗腫瘍抗生物質を含む。好ましくは細胞増殖抑制剤はアルキル化剤である。] [0146] アルキル化剤はヌクレオシドをアルキル化することによりDNAを修飾し、正しいDNA複製の防止をもたらす。ヌクレオチド類似体は、複製時にDNA中に組み込まれ、DNA合成を阻害する。紡錘体形成の阻害剤は紡錘体形成を妨害し、分裂中期に有糸分裂の停止を引き起こす。インターカレート剤はDNA塩基の間に挿入され、それによりDNA合成を阻害する。トポイソメラーゼI又はIIの阻害剤は、DNAのねじれに影響を及ぼし、それによりDNA複製を妨げる。] [0147] 好適な細胞増殖抑制剤は当該技術分野で既知であるが、例えば、アクチノマイシンD、BCNU(カルムスチン)、カルボプラチン、CCNU、カンプトテシン(Campothecin)(CPT)、カンタリジン、シスプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、DTIC、エピルビシン、エトポシド、ゲフィニチブ、ゲムシタビン、イフォスファミド(ifosamide)、イリノテカン、イオノマイシン、メルファラン、メトトレキサート、マイトマイシンC(MMC)、ミトキサントロンメルカプトプリン(mitozantronemercaptopurine)、オキサリプラチン、パクリタキセル(タキソール)、PARP−1阻害剤、タキソテール、テモゾロミド(TZM)、テニポシド、トポテカン(topotecane)、トレオスルファン(treosulfane)ビノレルビン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、5−アザシチジン、5,6−ジヒドロ−5−アザシチジン及び5−フルオロウラシルが、本明細書で参照される。当業者は任意の所与の細胞増殖抑制剤に関する好適な投与範囲を認識しており、一実施の形態では細胞増殖抑制剤は、その通常の用量範囲で、医薬組成物中に存在しており、又は被験体に投与される。好都合な一実施の形態では、本発明のオリゴペプチド化合物、核酸分子又はベクターは細胞増殖抑制剤に対して細胞を増感するため、より低用量の細胞増殖抑制剤が存在し得る/使用され得るので、本発明のオリゴペプチド化合物、核酸分子又はベクターと併用される場合、より低用量の細胞増殖抑制剤がより高用量の細胞増殖抑制剤自体と同じ又は同程度の治療上の効果を有する。したがって本発明のオリゴペプチド化合物、核酸分子又はベクターは、細胞増殖抑制剤に関して低い又は平均より低い耐性を有する被験体、例えば老齢者、乳児若しくは幼児、又は衰弱した人々(例えば疾患、栄養不良等により)を治療することを可能にする。] [0148] 過剰増殖性障害を治療するために細胞増殖抑制剤を使用した場合に直面する1つの問題は、通常、罹患細胞の全てが死滅するわけではないことである。細胞増殖抑制剤と本発明のオリゴペプチド化合物、核酸分子又はベクターとを共に使用した場合、罹患細胞がより高い割合で死滅し、また一実施の形態では、通常の用量より高い用量の細胞増殖抑制剤が、非常に高い割合、例えば少なくとも50%、60%、70%又は80%、好ましくは少なくとも85%、90%又は95%の疾患細胞を死滅させるために、最も好ましくは実質的に全ての疾患細胞を死滅させるために、本発明のオリゴペプチド化合物、核酸分子又はベクターと共に使用されると考えられる。] [0149] 上で示したように、本明細書で規定のようなオリゴペプチド化合物、核酸分子及び/又はベクターを細胞増殖抑制剤と共に使用する場合、2つの異なる薬剤が同じ医薬組成物中に存在してもよく、又はそれらの薬剤を別々に投与してもよい。別々の投与は、実質的に同時に、しかし異なる投与経路を介する、又は異なる位置での投与による投与を含み得る。別々の投与は、異なる時間での、例えば最大1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間又は12時間の間隔での投与も含み得る。] [0150] 被験体は、動物(すなわち任意のヒト又は非ヒト動物)、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトである。] [0151] 当業者は、オリゴペプチド化合物、核酸分子及び/又はベクターを細胞中に導入する好適な方法を十分に認識している。例えば、幾つかの好適な方法について以下に簡潔に論じる。上で詳細に論じたように、ペプチド媒介性の送達方法、特に細胞透過ペプチド(CPP)(上で論じたように、例えば哺乳動物細胞のエンドソームへの取り込みを増強することにより、CPPを含有する又はCPPが連結されているペプチド、タンパク質又はヌクレオチド分子の細胞への取り込みを容易にすることができるポリカチオン性であることもある短い配列である)を使用することができる。マイクロカプセル化は、生物活性材料を保護し、封入した物質又はその生成物を制御して放出させるために半透性のポリマー膜内に生物活性材料を封入する単純且つ費用対効果の良い方法を提供する。光化学的細胞内移行(internalisation)(PCI)では、対象の分子と光増感化合物との両方が、細胞によりリソソーム又はエンドソームへと取り込まれる。その後細胞を好適な波長の光に曝露して光増感化合物を活性化し、光増感化合物にリソソーム又はエンドソームの膜を破壊させ、それにより細胞の細胞質ゾルへと対象の分子を放出させる。] [0152] 他の方法は、微量注入、赤血球ゴースト媒介性融合、リポソーム融合、ピノソームの浸透圧溶解、スクレイプ・ローディング(scrape loading)、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム及びウイルス媒介性トランスフェクション、並びにコポリマー担体の使用を含む。] [0153] キトサン及び水溶性キトサン誘導体、特にグリコールキトサンは、そのin vivoでの生体適合性及び生体分解性のために、最適なドラッグ担体として持ち上がっている。好ましい例は、5β−コラン酸で疎水的に修飾したグリコールキトサンである。] [0154] 標準的なアミノ酸1文字コードが本明細書で使用され、それによると例えばKはリシン(Lys)を表し、Iはイソロイシン(Ile)を表す。] [0155] 本発明のオリゴペプチド化合物は、1つ又は複数の、例えば少なくとも1個、2個、3個、4個又は5個の、標準的な遺伝子コードによってはコードされていない側鎖を有するアミノ酸(本明細書で「非コードアミノ酸」と称する)を組み込み得る。これらは、代謝プロセスを通じて形成されるアミノ酸、例えばオルニチン若しくはタウリン、及び/又は人工的に修飾したアミノ酸、例えば9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニル(Fmoc)、(tert)−ブチルオキシカルボニル((tert)-(B)utyl (o)xy (c)arbonyl)(Boc)、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル(Pmc)保護アミノ酸、又はベンジルオキシ−カルボニル(Z)基を有するアミノ酸から選択することができる。好ましくは、かかる非コードアミノ酸が存在する場合、それらはモチーフ内に位置しないが、一実施の形態では1つ又は複数の非コードアミノ酸がモチーフ内に存在する。] [0156] 本発明のオリゴペプチド化合物のin vitro及び/又はin vivoでの安定性を、当該技術分野で既知の安定化手段又は保護手段、例えば保護基若しくは安定化基の付加、アミノ酸誘導体若しくは類似体の組み込み、又はアミノ酸の化学的修飾の使用により改善又は増強することができる。かかる保護基又は安定化基は、例えばN末端及び/又はC末端に付加することができる。かかる基の一例はアセチル基であり、他の保護基又はペプチドを安定化することができる基は当該技術分野で既知である。] [0157] 本発明のオリゴペプチド化合物は通常、L−配置を有するアミノ酸のみを含むが、D−配置を有する1つ又は複数のアミノ酸が存在し得る。好ましくは、オリゴペプチド化合物は、少なくとも1個、2個、3個、4個又は5個のD−アミノ酸を含有しており、D−アミノ酸は好ましくはモチーフ中に見出されるが、別の実施の形態では、モチーフの外側にのみ存在する。オリゴペプチド化合物は直鎖状又は環状であり得る。] [0158] したがって本発明のオリゴペプチド化合物のインベルソオリゴペプチド化合物、又はインベルソ類似体(より具体的にはインベルソペプチド)が特に含まれる。] [0159] 残基(例えばアミノ酸残基)が親化合物又は基準化合物(例えばペプチド)と反対方向に集合化したレトロオリゴペプチド化合物(又はレトロペプチド)も含まれる。] [0160] レトロインベルソオリゴペプチド化合物は、親化合物又は基準化合物の配列と逆(反対)の順序でD−アミノ酸を含む。したがってレトロインベルソ類似体は、親配列又は基準配列におけるものと同様の側鎖のトポロジーをおよそ維持しながら、例えばペプチド結合の逆の末端及び逆の順序を有する。] [0161] 本発明の化合物は、部分的なインベルソ、レトロ又はレトロインベルソ配列を含み得る。] [0162] 「オリゴペプチド化合物」は、ペプチド結合又は同等の結合により共に連結される、アミノ酸又は同等のサブユニットから構成される化合物を意味する。したがって、「オリゴペプチド化合物」という用語は、ペプチド及びペプチド模倣物を含む。] [0163] 「同等のサブユニット」は、或るアミノ酸と構造的に及び機能的に類似のサブユニットを意味する。サブユニットの骨格部分は標準的なアミノ酸と異なっていてもよく、例えば1つ又は複数の炭素原子の代わりに1つ又は複数の窒素原子を組み込み得る。] [0164] 「ペプチド模倣物」は、ペプチドと機能的に同等又は類似であり、対応するペプチドと類似の3次元構造を採ることができるが、ペプチド結合により連結されたアミノ酸のみから構成されるわけではない化合物を意味する。ペプチド模倣物の好ましい種類はペプトイド、すなわちN−置換グリシンである。ペプトイドはその対応する天然のペプチドと密接に関連するが、その側鎖が、α−炭素(アミノ酸でそうであるように)ではなく分子骨格に沿って窒素原子に付加されているという点で化学的に異なっている。] [0165] 好ましい一実施の形態では、少なくともオリゴペプチド化合物のモチーフ部分はペプチド結合のみを含み、好ましくはコードアミノ酸のみから構成される。最も好ましくは、オリゴペプチド化合物はペプチドである。] [0166] オリゴペプチド化合物はジアミノ酸及び/又はβ−アミノ酸を組み込み得るが、少なくともモチーフ部分は好ましくはα−アミノ酸のみから構成される。最も好ましくは、オリゴペプチド化合物はα−アミノ酸から成る。] [0167] 接頭辞「オリゴ」は、比較的小数のサブユニット(例えばアミノ酸)、すなわち200個未満、好ましくは100個未満、90個未満、80個未満、70個未満、60個未満又は50個未満のサブユニットを指定するために使用される。したがって本発明のオリゴペプチド化合物は、少なくとも5個で且つ200個以下のサブユニットを含み得る。好ましくは、本発明のオリゴペプチド化合物は、少なくとも6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個又は20個のサブユニットを含む。代替的に規定すると本発明のオリゴペプチド化合物は、40個以下、35個以下、30個以下、29個以下、28個以下、27個以下、26個以下又は25個以下のサブユニットを含む。したがって代表的なサブユニット範囲は、5個〜40個、5個〜35個、5個〜30個、5個〜25個、5個〜20個、5個〜15個、5個〜12個、5個〜10個等を含み、5個〜20個及び5個〜30個が好ましい。] [0168] オリゴペプチド化合物が5個より多くのサブユニットを含む場合、モチーフの外側のサブユニットの性質は重要ではなく、そのためモチーフの外側のサブユニットは例えばhABH2等の天然タンパク質中に見出されるものであってもよく、又はアラニン残基若しくは任意の他の好適な残基であってもよい。] [0169] ペプチド模倣物は通常、患者の身体内でより長い半減期を有するので、長く持続する効果が望まれる実施の形態において好ましい。これは、組成物を再投与すべき頻度を低減するのに役立ち得る。しかしバイオセーフティの理由から、他の実施の形態ではより短い半減期が好ましいことがあり、これらの実施の形態ではペプチドが好ましい。] [0170] 本発明のオリゴペプチド化合物はより大きな単位の部分を形成することができ、例えばポリペプチドと融合して組換え融合タンパク質を形成することができ、又は足場(scaffold)と結合してペプチドアプタマーを形成することができる。したがって、本発明のオリゴペプチド化合物を組み込んだ融合タンパク質又はアプタマーは、本発明のさらなる態様を形成する。またさらなる態様は、かかる融合タンパク質又はアプタマーを含む医薬組成物、及び治療法における、又は上で説明した治療方法におけるかかる融合タンパク質又はアプタマーの使用を含む。] [0171] 理論に拘束されることを望むものではないが、最適なDNA修復、維持及び/又は細胞周期調節のために幾つかのタンパク質がPCNAと相互作用することが必要であると考えられており、本発明のオリゴペプチド化合物はPCNAと相互作用するコンセンサスモチーフを有する(posses)タンパク質と競合し得ると考えられている。最適なDNA修復、維持及び/又は細胞周期調節のために新規モチーフを介してPCNAと相互作用する必要があり得るタンパク質の例を第1表に列挙し、タンパク質はDNAポリメラーゼ、DNAリガーゼ、トポイソメラーゼ、DNA修復タンパク質、DNA修復関連/相互作用タンパク質、姉妹染色分体接着に関与するタンパク質、クロマチン再構築、DNA結合、ユビキチンプロセシング又はSUMOプロセシング、E3ユビキチンリガーゼ、転写因子、細胞周期調節因子、タンパク質キナーゼ、メチルトランスフェラーゼ(Metyltransferase)、アセチルトランスフェラーゼ、癌関連抗原、構造タンパク質又は中心体キネシンであり得る。] [0172] 十分なレベルの本発明のオリゴペプチド化合物が細胞内に存在する場合、これらのタンパク質の内の1つ又は複数の活性は、この競合的阻害により低減し、又はさらには消失する。] [0173] 本明細書で規定のようなオリゴペプチド化合物、核酸分子又はベクター自体は、酵素活性を有さず、細胞に対する毒性がないと考えられている(実施例2を参照されたい)。したがって、本明細書で規定のようなPCNA相互作用モチーフを含む本発明のペプチドの発現は、該ペプチドが発現する細胞の成長に対して効果を有しない、又は微小な効果しか有しないことが示されている。これは、発現レベルに依存し得る。しかし、幾つかの状況では、本発明のオリゴペプチド化合物は細胞傷害性であり得ると考えられており、したがって該化合物は独立して細胞傷害剤(又は細胞増殖抑制剤)として使用することができる。したがって、本発明の化合物は、本明細書で論じた病態の治療における細胞傷害剤として、また必ずしも別々の細胞増殖抑制剤と、又は放射線療法と併用でなくとも、使用することができる。] [0174] 実験により、細胞に投与されたオリゴペプチド化合物は細胞に対する細胞傷害効果を有し得ることが示されている。] [0175] 細胞傷害効果は化合物の正確な性質、例えばその配列又は組成に依存して変動し得る。特に、細胞傷害効果はNLS及び/又はCPPを含む構築物により得ることができ、両方及びNLS及びCPPを含有する構築物で観察されている。細胞傷害性の強力な証拠が核局在構築物で観察されている。] [0176] 細胞傷害効果を示すオリゴペプチド化合物は、インベルソ、レトロ又はレトロインベルソ等であり得る。] [0177] より具体的には、本発明によるPCNA結合モチーフを2つ以上含有する化合物又は構築物により細胞傷害効果の増大を得ることができることがさらに観察されている。] [0178] さらなる一態様では、 (i)本明細書で規定のようなオリゴペプチド化合物、本明細書で規定のような核酸分子、及び/又は本明細書で規定のようなベクター、並びに (ii)細胞増殖抑制剤 を含むキット又は医薬製品が本明細書で提供される。] [0179] 別の態様では、細胞の成長を阻害することが望まれる障害若しくは病態、例えば過剰増殖性障害の治療において又は細胞増殖抑制療法を伴う治療において同時に、連続して又は別々に使用される複合調製物としての、(i)本明細書で規定のようなオリゴペプチド化合物、本明細書で規定のような核酸分子、及び/又は本明細書で規定のようなベクター、並びに(ii)細胞増殖抑制剤を含有する製品が提供される。] [0180] 細胞又は細胞培養物への本明細書で規定のようなオリゴペプチド化合物、核酸分子及び/又はベクターのin vitroでの投与も意図される。かかるin vitroの方法は、DNA修復、維持及び/又は細胞周期調節を研究するために使用することができる。好ましい一態様ではin vitroの方法は、新規な細胞増殖抑制剤を同定するために使用される。これは、細胞増殖抑制剤のより迅速な同定、又は単独で使用した場合には弱い細胞増殖抑制活性しか有しないが、本発明のオリゴペプチド化合物、核酸分子若しくはベクターと併用した場合には有用な細胞増殖抑制活性を有する薬剤の同定を可能にし得る。] [0181] 本明細書で規定のような新規なPCNA相互作用モチーフは、細胞の成長を阻害することが望まれる障害若しくは病態、例えば過剰増殖性障害の診断若しくはモニタリング、又は細胞増殖抑制療法若しくは放射線療法を伴う治療において、使用することができる。] [0182] 本発明者らは、幾つかの癌関連抗原がPCNA結合モチーフを有することを見出した(第1表を参照されたい)。したがって、モチーフを含有するタンパク質の発現レベル及び/又は位置を検出することにより(ここでタンパク質の異常なレベル及び/又は位置は、障害、例えば過剰増殖性障害の指標である)、上で論じた過剰増殖性障害又は他の障害を診断することができる、又はその進行をモニタリングすることができると考えられる。] [0183] 「異常なレベル」は、タンパク質のレベルの増大(例えば、該レベルは、同じ細胞型の健常細胞におけるレベルと比較して10%、20%、30%若しくは40%より大きい)、又はタンパク質のレベルの減少(例えば、該レベルは、同じ細胞型の健常細胞におけるレベルと比較して10%、20%、30%若しくは40%より小さい)を意味する。] [0184] 好ましい一実施の形態では、モチーフを含有するタンパク質のレベルの増大は、障害、例えば過剰増殖性障害の指標である。] [0185] モチーフ含有タンパク質のレベルは、任意の既知のタンパク質検出方法を使用して分析することができる。好ましくは、モチーフに特異的な抗体が使用される。抗体は、診断方法において使用するために、モチーフに対して十分に特異的でなければならない(基準タンパク質、例えばウシ血清アルブミンと比較して)。] [0186] 抗体は、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体であってもよく、全抗体、例えばIgG、IgA、IgE、IgM若しくはIgD、又は抗体断片、例えばFab、Fab’、F(ab’)2、scFv、Fv、dsFv、ds−scFv、Fd、dAbsであってもよい。] [0187] 検出アッセイを、in vivo又はin vitroで、例えば組織若しくは細胞、又は体液試料、例えば細胞溶解物、血清若しくは血液において、実施することができる。] [0188] 検出を、抗体と検出可能な物質とを結合すること(すなわち、物理的に連結すること)(すなわち、抗体標識)により、容易にすることができる。検出可能な物質の例は、種々の酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料、生物発光材料、NMR造影剤及び放射性材料を含む。好適な酵素の例は、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、グルコースオキシダーゼ、リゾチーム、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ等を含み;好適な補欠分子族複合体の例は、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチンを含み;好適な蛍光材料の例は、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル又はフィコエリトリンを含み;発光材料の例は、ルミノールを含み;生物発光材料の例は、ルシフェラーゼ、ルシフェリン及びエクオリンを含み、好適な放射性材料の例は、125I、131I、35S又は3Hを含む。直接の可視標識の場合には、コロイド性金属粒子又は非金属粒子を使用することができる。] [0189] 好ましくは、細胞の成長を阻害することが望まれる障害又は病態、例えば過剰増殖性障害の被験体における進行を診断又はモニタリングする方法であって、 (1)抗体−抗原複合体の形成を可能にする条件下で上記被験体(例えば哺乳動物)から採取した試験試料とモチーフに特異的な抗体とを接触させる工程; (2)試験試料中の抗体−抗原複合体の量を測定する工程;及び (3)試験試料中の抗体−抗原複合体の量と対照試料中の抗体−抗原複合体の量とを比較する工程 を含む、方法が提供される。対照は、同じ被験体から採取した健常細胞、例えば健常線維芽細胞であり得る。] [0190] 別の態様では、本発明は、モチーフに特異的な抗体に関する。] [0191] 本発明は、細胞の成長を阻害することが望まれる障害又は病態、例えば過剰増殖性障害を診断又はモニタリングするキットであって、モチーフに特異的な抗体、及び障害又は病態を診断するためのその使用に関する取扱説明書を備える、キットをさらに含む。好ましくは抗体は上で説明した検出可能な物質とカップリングし、又はキットはかかる検出可能な物質を含む。] [0192] 代替的な診断方法は、モチーフをコードする異常なレベルの核酸分子の検出を伴う。この方法では、核酸のレベルは、好適な検出方法、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、又は好適に標識したプローブを使用するハイブリダイゼーション法を使用してモニタリングされる。これより本発明を、以下の非限定的な実施例及び図面を参照してさらに説明する。] 図面の簡単な説明 [0193] hABH2及びPCNAが共局在化すること、並びにhABH2の10個のN末端アミノ酸がこの共局在化に必要且つ十分なことを示す共焦点顕微鏡画像である。EYFPで標識した種々のhABH2構築物(残基1〜261を有する全長hAHB2、残基11〜261を有する切断hABH2、及び残基1〜10から成るHABH2のN末端断片)を、ECFP標識PCNAを用いて共局在化に関して試験した(実施例1を参照されたい)。左のレーンは、hABH2単独でトランスフェクトした細胞を示し、残りの3つのレーンはhABH2構築物及びPCNAで同時トランスフェクトした細胞を示す。 FRET分析の結果を示すグラフである。正規化FRET(NFRET)測定結果を、EYFP(黄色蛍光タンパク質)/ECFP(シアン蛍光タンパク質)(レーン1、タグの二量体形成によるバックグラウンド)、EYFP−PCNA/ECFP−PCNA(レーン2、PCNAがPCNAと結合することによる陽性対照)、hAHB2−EYFP/ECFP−PCNA(レーン3)及び1−10N hABH2−EYFP/ECFP−PCNA(レーン4)の間で示す。 hABH21−10−EYFPを発現する、又は対照としてEYFPを発現する細胞に対する種々の細胞増殖抑制剤の効果を示すグラフである。処理細胞は左に、未処理細胞は右に示した。処理を、10μMMMS、40μM BCNU、1μMMMC又は600μM TMZを用いて4日間実施した(それぞれ図3a〜図3d)。示したデータは、少なくとも3回の実験のうち代表的な1回から得られたものであり、異なる用量での細胞成長を、8個の並行ウェルにおいて試験した。 Clustal Wを使用した、ホモ・サピエンス(Homo sapiens)(NP001001655.1)、ボス・タウルス(Bos Taurus)(NP001019687.1)、ドブネズミ(Rattus norvegicus)(XP222273.3)、ハツカネズミ(Mus musculus)(NP778181.2)、セキショクヤケイ(Gallus gallus)(XP415188.2)及びムラサキウニ(Strongylocentrotus purpuratus)(XP797704.1)由来のABH2ホモログの10個のN末端アミノ酸の配列アライメントを示す図である。配列は公的データベースから入手した。 種々の異なる種から実施例4において同定したタンパク質の配列のアライメントを示す図である。 実施例7で説明した種々のペプチドを用いた細胞傷害アッセイの結果を示すグラフである(図6(a)〜図6(h))。HeLa細胞を96ウェルプレート中に播種し(6000細胞/ウェル)、3時間インキュベートした。種々の用量のペプチドを、培地中における血清の存在下(黒ひし形)又は非存在下(黒四角)でウェルに添加した。1時間後に10%又は20%の血清を有する等量の培地(血清無含有培地に対して)をウェルに添加した。MTTアッセイによる細胞生存性の測定前に細胞を48時間インキュベートした。グラフは、ペプチドの濃度(μM)に対する細胞成長(OD750nm)を示す。 実施例7で説明した種々のペプチドを用いた細胞傷害アッセイの結果を示すグラフである(図6(a)〜図6(h))。HeLa細胞を96ウェルプレート中に播種し(6000細胞/ウェル)、3時間インキュベートした。種々の用量のペプチドを、培地中における血清の存在下(黒ひし形)又は非存在下(黒四角)でウェルに添加した。1時間後に10%又は20%の血清を有する等量の培地(血清無含有培地に対して)をウェルに添加した。MTTアッセイによる細胞生存性の測定前に細胞を48時間インキュベートした。グラフは、ペプチドの濃度(μM)に対する細胞成長(OD750nm)を示す。 実施例7で説明した種々のペプチドを用いた細胞傷害アッセイの結果を示すグラフである(図6(a)〜図6(h))。HeLa細胞を96ウェルプレート中に播種し(6000細胞/ウェル)、3時間インキュベートした。種々の用量のペプチドを、培地中における血清の存在下(黒ひし形)又は非存在下(黒四角)でウェルに添加した。1時間後に10%又は20%の血清を有する等量の培地(血清無含有培地に対して)をウェルに添加した。MTTアッセイによる細胞生存性の測定前に細胞を48時間インキュベートした。グラフは、ペプチドの濃度(μM)に対する細胞成長(OD750nm)を示す。] 実施例 [0194] 実施例で使用した実験手順 発現構築物 蛍光タグ付き発現構築物ECFP−PCNA及びhABH21−261−EYFPのクローニングは、以前に説明されている(Aas et al., 2003)。hABH21−261−EYFPを鋳型として利用して、hABH21−10−EYFP及びhABH211−261−EYFPをPCRにより生成した。増幅産物を、それぞれNdeI/AgeI及びAgeI/EcoRIを使用してpEYFP−N1(Clonetech)中にクローニングした。ESTからのPCR産物(イメージクローン5176979(BC035374)RZPD)を、pEYFP−C1(HindIII/Acc651)中にクローニングして、EYFP−TFIIS−Lを得た。EYFP−XPA構築物は、Wim Vermeulen博士(Department of Cell Biology and Genetics, Rotterdam)から寛大にも提供を受けたHis9−HA−EGFP−XPA(Rademakers et al., 2003)においてEYFPとEGFP(NheI/BsrGI断片)とを入れ替えることにより作製した。TFII−I−EYFPは、Robert G. Roeder博士(Laboratory of Biochemistry and Molecular Biology, The Rockefeller University, New York)から寛大にも提供を受けたpI3CX−TFII−I(Roy et al., 1993)からのTFII−IのPCR増幅、及びEYFP−N1(SacI/ApaI)中へのクローニングにより生成した。EYFP−Topo−IIαは、William T. Beck(Division of Molecular Pharmacology, Department of Molecular Genetics, University of Illinois, Chicago)から寛大にも提供を受けたEGFP−Topo−IIα (pT104−1)(Mo and Beck, 1999)からEGFPタグ(EcoRIブラント/NheI)とEYFPタグ(XhoIブラント/NheI)とを入れ替えることにより作製した。F4突然変異体を含むhABH21−7−EYFP構築物は、XhoI/EcoRIオーバーハングでオリゴヌクレオチドをアニーリングし、その後ATGコドンで突然変異したEYFP−N1にクローニングすることにより、作製した。全ての点突然変異を、QuickChange(登録商標)II取扱説明書マニュアルに従い部位特異的突然変異誘発により作製した。制限酵素及び仔牛小腸由来アルカリホスファターゼ(CIP)は、New England Biolabs(登録商標)Inc.から、オリゴヌクレオチドはMedProbe、Eurogentech(Oslo, Norway)から入手した。全ての構築物を、配列決定により確認した。 共焦点画像化及びFRET測定 生きたHeLa細胞を、ECFP及びEYFP融合構築物の一過性のトランスフェクション(製造業者の推奨に従い、Fugene6(Roche Inc.)による)の16時間〜24時間後に調べた。蛍光画像を、Plan−Apochromate 63×/1.4油浸対物レンズを備えたZeiss LSM510 Metaレーザー走査顕微鏡を使用して取得した。連続式スキャンを使用して、増強型シアン蛍光タンパク質(ECFP)はλ=458nmで励起してλ=470nm〜500nmで検出し、増強型黄色蛍光タンパク質(EYFP)はλ=514nmで励起してλ=530nm〜600nmで検出した。切片の厚みは1μmとした。] [0195] タグ(EYFP及びECFP)間の距離が100Å(10nm)未満である場合、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)が起こる。本発明者らは、供与体(ECFP)の励起時の受容体(EYFP)の発光を測定する増感発光方法を使用して、FRETを検出した。本発明者らは、ECFP蛍光色素の励起後のEYFPからの放射光の強度が、それぞれEYFP及びECFPレーザーでの励起後にECFP又はEYFPタグ付きタンパク質単独により放射された光(ブリードスルー(bleed through))よりも強かった場合(式:FRET=I2−I1(ID2/ID1)−I3(IA2/IA3)が0より大きい場合)、FRETが起こったものとした。FRETを、式:NFRET=FRET/(I1×I3)1/2を使用して発現レベルに関して正規化した。NFRETは、25ピクセル超を含有する関心領域(ROI)内の平均強度(I)から算出した(全てのピクセルの強度が250未満であり、供与体及び受容体構築物の両方に関する平均強度が100〜200であった)。チャネル1(ECFP)及び3(EYFP)を、上で説明したように画像化のために測定し、チャネル2(FRET)はλ=458nmで励起しλ=530nm〜600nmで検出した。ID1、D2、D3及びIA1、A2、A3は、同時トランスフェクトした細胞(I1及びI3)と同じ設定及び同じ蛍光強度を用いて、ECFP及びEYFP構築物のみでトランスフェクトした細胞に関して確定した。ECFP−PCNA及びEYFP−PCNAは陽性対照として含め、同時発現したタグの二量体形成のために、エンプティベクターから発現したECFP及びEYFPタンパク質を全ての実験において陰性対照として含めた。 細胞株の培養、及び細胞抽出物の調製 対象の構築物を安定して発現するHeLa(子宮頸部癌)及びHaCaT(自発的に形質転換したケラチノサイト)細胞を、トランスフェクション(Fugene6による)、その後の細胞選別又は希釈クローニング、並びに10%ウシ胎児血清(FCS)、アンホテリシンB(250μg/ml、Sigma-Aldrich)、ゲンタマイシン(100μg/ml、Gibco)及びグルタミン(1mM、BioWhittaker(登録商標))を添加した選択(ゲンチシン(genticine)、G418、400μg/ml(Invitrogen)を使用する)ダルベッコ変法イーグル培地/高グルコース4.5g/l(DMEM)(BioWhittaker(登録商標))での長期培養により調製した。細胞を5%二酸化炭素、加湿雰囲気中において37℃で培養した。HeLa由来の分画した細胞抽出物を、緩衝液I(10mM Tris−HCl、pH8.0、及び50mM KCl)において1×血中血球容積(PCV)で、及び緩衝液II(10mM Tris−HCl、100mM KCl、20%グリセロール、0.5% Nonidet P−40、10mM EGTA、10mM MgCl2、1mM DTT、1×Completeプロテアーゼ阻害剤(Roche)、ホスフェート阻害剤カクテル(PIC I及びPIC II、Sigma))において1×PCVで細胞ペレットを再懸濁することにより調製した。細胞を、一定振とう下で4℃で30分間、インキュベートした。上清(可溶性画分)を回収した。ペレット(核を含有する)を、緩衝液III(10mM Tris−HCl、pH8.0、及び100mM KCl)において1×PCVで、緩衝液IIにおいて1×PCVで再懸濁し、全ての核が破壊されるまで軽く(briefly)超音波処理した。750μgの核小体含有画分を遠心分離し、ペレット(クロマチン結合画分)を緩衝液II及びIII中で再懸濁した。クロマチン結合画分を、DNAse/RNAseカクテル(2μl Omnicleave(登録商標)エンドヌクレアーゼ(200U/μl、Epicentre(登録商標)Biotecnologies、WI)、2μl DNAse(10U/μl、Roche Inc.)、2μl Bensonase(250U/μl、Novagene、Ge)、2μl小球菌ヌクレアーゼ(100U/μl〜300U/μl、Sigma-Aldrich)、及び2μl RNAse(10mg/ml、Sigma-Aldrich))と共に室温で30分間、及び37℃で1時間インキュベートした。750μgの可溶性画分を、さらなる2μl Omnicleave(登録商標)と共に、IP時に4℃で終夜インキュベートした。 共免疫沈降(co−IP)及びウェスタン分析(WB) GFPタンパク質に対して産生したインハウスアフィニティ精製ウサギポリクローナル抗体(EYFP及びECFPタンパク質も認識する)を、New England Biolabs(登録商標) Incから得た手順に従ってプロテインA常磁性ビーズ(Dynal(登録商標))と共有結合した(以下ではα−GFPビーズと称する)。各画分を、4℃で終夜定速回転時にα−GFPビーズ(10μl)と共にインキュベートした(IP)。IP後、間に氷上でのインキュベーション(5分間)を行いながら、200μl 10mM Tris−HCl、50mM KCl(pH7.5)でビーズを4回洗浄した。ビーズをその後NuPAGE(登録商標)(Invitrogen)ローディング緩衝液及び1mM DTT中で再懸濁し、加熱し、10%又は4%〜12% Bis−Tris−HCl(NuPAGE(登録商標))ゲル上で分離し、PVDF膜(Immobilon(登録商標)、Millipore)に移した。膜を、5%低脂肪粉乳を含むPBST(0.1% Tween(登録商標)20を含むPBS)中で1時間ブロッキングした。一次抗体であるα−PCNA(PC10、Santa Cruz biotechnology Inc.)及びα−GFPを1%粉乳に含むPBST中で希釈し、1時間インキュベートし、その後それぞれ二次抗体であるポリクローナルウサギ抗マウスIgG/HRP及びポリクローナルブタ抗ウサギIgG/HRP(DakoCytomation, Denmark)と共に1時間インキュベーションした。膜を化学発光試薬(SuperSignal(登録商標)West Femto Maximum、PIERCE)で処理し、タンパク質をKodak Image Station 2000Rで可視化した。 配列解析 初期配列解析のために、Swiss−Prot及びTrEMBLデータベースを使用して対象の配列領域と類似の部分配列を有するタンパク質を見出した。PROSITE形式のモチーフでデータベースへの問合せを行った。Clustal Wを使用して対象の配列をアラインメントさせた。補足ファイル1に列挙した保存モチーフを、遺伝子オルソログの比較により同定した。Inparanoid5.1版用のデータファイルを、代表的な生物のサブセットに関してInparanoidウェブサーバー<http://inparanoid.sbc.su.se/>からダウンロードした。ヒトの配列を基準として使用し、Inparanoid処理したfastaファイルを、ローカルツールを使用して、APIMモチーフに関する正規表現でサーチした。Ile、Val及びLeuに加えてAlaがモチーフの3位又は4位のいずれかに存在してもよいが同時に両方の位置には存在しないとする、わずかに拡張したモチーフ定義を使用した。計22218種類のタンパク質配列から、APIMモチーフに対して少なくとも1つのヒットを有する636種類の配列が存在した。これらのエントリーを、ウェブサーバー<http://gpcr.biocomp.unibo.it/esldb/>からダウンロードしたeSLDBデータベースにおいて実験上の及び予測の細胞内局在化に対してマッチさせ、核に対する標的化の示徴(indication)を有しない349種類のエントリーは除いた。残りの287種類のエントリーに関して対応するInparanoidオルソログを同定し、対応する配列をfastaファイルから抽出し、得られた配列ライブラリをClustal Wを用いてアラインメントさせた。] [0196] Inparanoidでオルソログを含まない24種類の配列エントリーは分析から除いた。保存部位の同定のために2つの異なる手順を並行して使用した。第1の手順(コンセンサス)では、コンセンサス配列を、ヒト配列における各ヒット位置に関する多重アライメントから評価した。コンセンサスを評価する際には、例えばIle、Val及びLeuを単一の残基型として処理するように、保存的APIMモチーフにおける同等記号(Alaを除く)をコンセンサスの評価に関して同等記号として処理した(where treated)。正規表現を、ヒット位置が確定する前にコンセンサスに対してさらに試験した。代替手順(個別)では、正規表現を、ヒト配列におけるヒット位置に対応する各オルソログ部分配列に対して試験し、少なくとも50%のオルソログがこの表現とマッチする位置のみを確定した。この評価では、ギャップのみから成る部分配列は、例えば代替的なスプライシング変異体を表し得ると仮定して、除外した。これらの2つの手順はほとんど同一の結果をもたらし、組み合わせたアウトプットを補足ファイル1に示す。計37種類のエントリーをこの手順により除き、残りの226種類のエントリーを列挙して解析した。アウトプットにおいて使用したタンパク質の説明は、Inparanoid未処理ヒトfastaファイル及びEnsembl release 45から取得した。アウトプットファイルはhtml形式であり、標準的なウェブブラウザにより開くことができる。 予測PCNA結合ペプチドのドットブロット分析 28nmolのペプチド(スポットを可視化するためにポンソーで染色した)のドットを含有するアミノ−PEG500−UC540シート(安定性が向上した酸硬化性)を、オスロ大学(Norway)のバイオテクノロジーセンターのペプチド合成実験室で調製した。膜を1μg/ml PCNAで2時間探索し、その後一次抗体(α−PCNA、PC10)で探索し、上で説明したようにWBのために展開した。 細胞生存アッセイ HeLa及びHaCaT細胞を96ウェルプレート中に播種し(4000細胞/ウェル)、4時間インキュベートした。種々の用量のMMS(メチルメタンスルホネート、Acros)、BCNU(1,3−ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソウレア(nitrosuream)、Sigma)、テモゾロミド(4−メチル−5−オキソ−2,3,4,6,8−ペンタアザビシクロ[4.3.0]ノナ−2,7,9−トリエン−9−カルボキサミド、TZM、Sigma)及びマイトマイシンC(6−アミノ−1,1a,2,8,8a,8b−ヘキサヒドロ−8−(ヒドロキシメチル)−8a−メトキシ−5−メチル−アジリノ[2’,3’:3,4]ピロロ[1,2−a]インドール−4,7−ジオンカルバメート、MMC、Sigma)を、ウェルに添加した。U2OS細胞は、MMS及びTMZのみに曝露した。細胞を回収まで連続して曝露した。MTTアッセイ(Mosmann, 1983)を使用して細胞を4日間毎日回収した。ODを570nmで測定し、少なくとも6ウェルの平均を使用して細胞生存性を算出した。示したデータは、1つの代表的な実験で得られた成長であり、少なくとも2回再現された。 実施例1 この実施例で説明する本研究は、複製中心(foci)におけるhABH2の局在化を調べており、hABH2とPCNAとの間の直接の相互作用、及びかかる相互作用に関与するhABH2の領域を特定している。] [0197] 生きているS期の細胞では、緑色蛍光タンパク質(EGFP)でタグ付けしたPCNAが複製部位を表す異なる中心を形成するので、S期のマーカーとして使用することができる。] [0198] シアン蛍光タンパク質(ECFP)でタグ付けしたPCNAを、黄色蛍光タンパク質(EYFP)と融合した種々のhABH2欠失構築物と同時発現した。hABH2における10個のN末端アミノ酸の欠失(hABH211−261−EYFP)により、複製中心におけるPCNAとの共局在化が全体的に消失することが見出された。注目すべきことに、(hABH21−10−EYFPと称する構築物を得るために)これらの10個のアミノ酸をEYFPと融合した場合には、PCNAとの共局在化に十分であった(図1)。特に、ECFP−PCNAの同時発現により、hABH2構築物を単独で発現する細胞と比較して、核中心における全長hABH2(hABH21−261−EYFP)及びhABH21−10−EYFPの局在化が増大した。このことは、hABH2の10個のN末端アミノ酸により媒介されるPCNAとhABH2との間の直接の相互作用を示唆している。] 図1 [0199] hABH2及びPCNAの近接度を検証するために、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)を測定した。全長hABH2−EYFP及びhABH21−10−EYFPの両方が、ECFP−PCNAと共に正のFRETを生成し、蛍光タグの間の距離が100Å未満であることが実証された。このことは、hABH2変異体が、ECFP−PCNAと直接相互作用する、又はECFP−PCNAと同じ複合体中に存在していることを示唆している(図2)。] 図2 [0200] 直接的な相互作用を確認するために、hABH2−EYFP、hABH211−261−EYFP、hABH21−10−EYFP又はEYFPを安定して発現する細胞由来のタンパク質抽出物を使用して共免疫沈降研究を行った。抗GFP抗体を使用してそれぞれの融合タンパク質を免疫沈降させた。その後のウェスタンブロット分析により、内在性のPCNAは、hABH21−216−EYFP及びhABH21−10−EYFPによりプルダウンされるが、hABH211−261−EYFP又はEYFPによってはプルダウンされないことが明らかとなった。まとめると、これらの結果は、hABH2がPCNAと直接相互作用すること、及び結合配列はhABH2の10個のN末端アミノ酸内に含有されていることを示唆している。 実施例2 hABH2を阻害するhABH21−10の能力を試験した。] [0201] hABH21−10−EYFP又はEYFPを単独で発現する細胞株を、アルキル化剤MMS(メチルメタンスルホネート)、BCNU(カルムスチン)、テモゾロミド(TZM)又はマイトマイシンC(MMC)に曝露した。MMSはhABH2により修復される3−メチルシトシン(3meC)及び1−メチルアデニン(1meA)をもたらすSN2アルキル化剤であり、BCNUは鎖間架橋及び幾つかの単塩基環状付加体(1,N(6)エタノアデニン)を主にもたらすO6−クロロエチル化剤である。TZMは06Gメチル化剤であると報告されており、MMCはCpGのグアニンのN−アルキル化を介して鎖間架橋を引き起こす。] [0202] hABH21−10−EYFP又はEYFPの過剰発現は、未処理細胞の成長速度を損なわないが、hABH21−10−EYFPの発現がMMSでの処理に対してHeLa細胞を増感することが見出された。驚くべきことに、hABH21−10−EYFPの発現が試験した他の細胞増殖抑制剤の全てに対してHeLa細胞を増感することも見出された(図3)。このことは、感度の増大が、3meC及び1meAを主に修復すると考えられているhABH2の阻害によってのみ引き起こされたわけではなかったことを示している。] 図3 [0203] マウスAbh2−/−細胞、すなわちABH2ノックアウト細胞がMMSに対する感度の増大を示すがBCNUに対する感度の増大は示さないことは以前の研究から既知である。したがって、hABH21−10−EYFPを発現する細胞の細胞増殖抑制剤、例えばBCNUに対する感度の増大は、hABH2の阻害のみによっては説明することはできない。] [0204] hABH21−10−EYFPを安定して発現するHaCaT(自発的に形質転換したケラチノサイト)細胞も、MMS及びTMZに対して過剰に感度が高い。] [0205] 異なるアルキル化剤での処理後の細胞のフロー及びコメットアッセイ分析により、ドラッグがそれぞれ、細胞周期に異なる影響を及ぼし、異なるレベル及びパターンのDNA修復中間体(脱塩基部位、SSB、DSB)(コメットアッセイにより検出される)を誘発することが示された。MMSはS期停止(1日目)を引き起こし、4時間後に最高レベルのDNA修復中間体をもたらした。しかし、MMS処理した細胞は、正常な細胞周期分布を示し、2日目にDNA修復中間体のレベルの増大を示さなかった。MMSと同様に、TMZも、4時間後に最高レベルの修復中間体をもたらしたが、細胞は3日目までG2/Mで停止し、異なる損傷及び修復パターンを示した。TMZも、試験した他の全ての3つの薬剤より多くの鎖切断を誘発した。これは驚くべきことであり、なぜならTMZはMGMTによる直接の修復機構による修復である06メチル−Gを主に誘発し、任意の塩基又は鎖切断の除去を伴わないと考えられているからである。BCNU処理は、1日目の一過性のG2/M停止、及び非常に低いレベルの修復中間体をもたらし、架橋を含有するほとんどの細胞が死滅したことを示している。他方、MMC処理は1日目及び2日目のS期停止をもたらし、これは対照細胞よりもhABH21−10−EYFPを発現する細胞でより顕著であった。細胞は3日目にも依然としてG2/Mで停止していた。MMC処理後のコメットアッセイにおいて細胞株間の有意差は観察することができなかったが、修復中間体の数は2日目に最大となった。] [0206] 概して、コメットアッセイにより、EYFP及びhABH21−10−EYFPを発現する細胞の間の修復中間体の量にいかなる有意差も検出することはできなかった。コメット及びフロー分析により、使用した異なる薬剤が異なる細胞周期応答と、異なる修復パターンとの両方を誘発することが示されている。さらに全ての薬剤がEYFPを発現する細胞と比較してAPIMを発現する細胞における細胞傷害性を増大し、それによりこのことが修復又は細胞死の間の調節における幾つかのAPIM含有タンパク質に関する役割を支持している。 実施例3 複数の異なる種由来のデータベース配列ABH2のアライメントにより、7個のN末端アミノ酸が高度に保存されていることが明らかにされた(図4)。結合配列を同定するために、これらのアミノ酸のペプチド−PCNA相互作用に関する重要性をドットブロットアッセイを使用して調べた。とりわけ、Arg3及びLys7が互いに置換し得ること、並びにPCNAに対する見かけの親和性に影響を及ぼすことなく、Leu5及びVal6が互いに、又は他の脂肪族アミノ酸、例えばIle及びAlaにより置換され得ることが見出された。さらに、完全に保存されている芳香族アミノ酸Phe4を、Tyrにより置き換えることができたが、この位置のAlaはPCNA結合を有意に低減した。] 図4 [0207] 1位〜2位及び8位〜10位のアミノ酸のAlaでの置換はPCNA結合に影響を及ぼさず、コア相互作用配列としてのペンタペプチドRFLVK(配列番号2)が示唆された。] [0208] さらなるアッセイにより、このペンタペプチドはそれのみでPCNA結合に十分であるが、さらなる隣接アミノ酸が相互作用を増大させることが明らかにされた。] [0209] 次にhABH2の1位〜7位のアミノ酸、及びこの配列の変異体(Phe4がTyr、Trp又はAlaにより置き換えられている)を、EYFPとの融合タンパク質として発現し、in vivoでのPCNAとの共局在化に関して試験した。ドットブロットアッセイにおいて見出された結果と同様に、4位に芳香族アミノ酸を含有する融合タンパク質はECFP−PCNAと共局在化したが、この位置にAlaを有するタンパク質は共局在化しなかった。 実施例4 Swiss−Prot及びTrEMBLデータベースを使用してhABH2とPCNAとの結合に関与するものとして同定されている配列と類似の部分配列を有するタンパク質を見出した。クエリーとしてコンセンサス[KR]−[FYW]−[LIVA]−[LIVA]−[KR](配列番号30)を使用して、226個のヒットを得たが(概要としては第1表を参照されたい)、この内の幾つかのヒトタンパク質をさらなる解析のために選択した。] [0210] hABH2と同様にその7個のN末端アミノ酸内に上記のコンセンサス配列を含有するタンパク質が1つあった。停滞した転写の進行に重要なタンパク質であるこのタンパク質はTFIIS伸長因子で見出される保存されたN末端ドメインIも含有する。本発明者らはこのタンパク質をTFIIS様タンパク質(TFIIS−L)と名付けた。このタンパク質の機能は未知である。] [0211] 第2のタンパク質は4つのコンセンサス配列を含有する、多機能転写因子TFII−Iであった。TFII−Iは細胞周期の制御及び増殖に重要であり、TFII−Iを過剰発現する細胞はγ−H2AX中心(DNA二本鎖切断に対するマーカー)の持続を増大させ、このことはDNA修復におけるTFII−Iの役割を示唆している。] [0212] 1つのコンセンサス配列を含有するDNAトポイソメラーゼII α(Topo II α)も調べた。Topo IIαは複製後のDNA脱連環及びDNA分離において機能する。] [0213] コンセンサス配列は、へリックスのねじれを認識する鍵となるヌクレオチド除去修復タンパク質(NER)XPAの内部でも見出された。] [0214] コンセンサス配列は、適切な中心体機能及び染色体分離に重要であることが分かっている相同組換えタンパク質であるRAD51Bで見出された。] [0215] 別のタンパク質は、1つのコンセンサス配列を含有することが見出されたファンコーニ貧血コア複合体タンパク質(FANCC)であった。ファンコーニ貧血(FA)は、再生不良性貧血、白血病感受性の増大及び架橋剤に対する過敏性を特徴とする珍しい遺伝障害である。FAコア複合体は、架橋剤のDNA修復を調節する、DNA損傷によって活性化されるシグナル伝達経路にかかわることが分かっている。] [0216] これらのタンパク質全てで、推定PCNA結合モチーフが、異なる種にわたって保存されることが見出された(図5)。これら5つのタンパク質の間で、Topo IIα及びFANCC(損傷後)だけが、核のS期中心においてBRCA1と共局在化することが報告されており、Topo II αは潜在的なPIPボックス(QttLaFkp、アミノ酸1277〜84)を含有する唯一のタンパク質である。ここで本発明者らは、ありとあらゆるこれらのタンパク質のEYFP融合タンパク質がS期中心においてECFP−PCNAと共局在化することを示した。] 図5
权利要求:
請求項1 治療に使用される、PCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物、又は該オリゴペプチド化合物をコードする配列を含む核酸分子であって、前記PCNA相互作用モチーフが、X1X2X3X3’X1’(配列番号1)(式中、X1及びX1’は独立して、塩基性アミノ酸の群から選択され、X2は脂溶性アミノ酸であり、X3及びX3’は独立して、非荷電アミノ酸の群から選択される)であり、前記オリゴペプチド化合物が、(i)前記オリゴペプチド化合物がシグナル配列を少なくとも1つ含むこと、(ii)前記PCNA相互作用モチーフが[K/R]−F−[LIV]−[LIV]−[K/R](配列番号27)であること、の少なくとも一方をさらに特徴とする、PCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物、又は該オリゴペプチド化合物をコードする配列を含む核酸分子。 請求項2 細胞の成長を阻害することが望まれる障害若しくは病態の治療に又は細胞増殖抑制療法を伴う治療に使用される、PCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物、又は該オリゴペプチド化合物をコードする配列を含む核酸分子であって、前記PCNA相互作用モチーフが、X1X2X3X3’X1’(配列番号1)(式中、X1及びX1’は独立して、塩基性アミノ酸の群から選択され、X2は脂溶性アミノ酸であり、X3及びX3’は独立して、非荷電アミノ酸の群から選択される)であり、前記オリゴペプチド化合物が、(i)前記オリゴペプチド化合物がシグナル配列を少なくとも1つ含むこと、(ii)前記PCNA相互作用モチーフが[K/R]−F−[LIV]−[LIV]−[K/R](配列番号27)であること、の少なくとも一方をさらに特徴とする、PCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物、又は該オリゴペプチド化合物をコードする配列を含む核酸分子。 請求項3 細胞の成長を阻害することが望まれる障害若しくは病態の治療に又は細胞増殖抑制療法を伴う治療に使用される薬物の製造における、PCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物、又は該オリゴペプチド化合物をコードする配列を含む核酸分子の使用であって、前記PCNA相互作用モチーフが、X1X2X3X3’X1’(配列番号1)(式中、X1及びX1’は独立して、塩基性アミノ酸の群から選択され、X2は脂溶性アミノ酸であり、X3及びX3’は独立して、非荷電アミノ酸の群から選択される)であり、前記オリゴペプチド化合物が、(i)前記オリゴペプチド化合物がシグナル配列を少なくとも1つ含むこと、(ii)前記PCNA相互作用モチーフが[K/R]−F−[LIV]−[LIV]−[K/R](配列番号27)であること、の少なくとも一方をさらに特徴とする、PCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物、又は該オリゴペプチド化合物をコードする配列を含む核酸分子の使用。 請求項4 細胞の成長を阻害することが望まれる障害若しくは病態の治療方法、又は細胞増殖抑制療法を伴う治療方法であって、PCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物、又は該オリゴペプチド化合物をコードする配列を含む核酸分子を、それを必要とする被験体に投与することを含み、前記PCNA相互作用モチーフが、X1X2X3X3’X1’(配列番号1)(式中、X1及びX1’は独立して、塩基性アミノ酸の群から選択され、X2は脂溶性アミノ酸であり、X3及びX3’は独立して、非荷電アミノ酸の群から選択される)であり、前記オリゴペプチド化合物が、(i)前記オリゴペプチド化合物がシグナル配列を少なくとも1つ含むこと、(ii)前記PCNA相互作用モチーフが[K/R]−F−[LIV]−[LIV]−[K/R](配列番号27)であること、の少なくとも一方をさらに特徴とする、細胞の成長を阻害することが望まれる障害若しくは病態の治療方法、又は細胞増殖抑制療法を伴う治療方法。 請求項5 少なくとも1つの薬理学的に許容される担体又は賦形剤と共に、PCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物、又は該オリゴペプチド化合物をコードする配列を含む核酸分子を含む、医薬組成物であって、前記PCNA相互作用モチーフが、X1X2X3X3’X1’(配列番号1)(式中、X1及びX1’は独立して、塩基性アミノ酸の群から選択され、X2は脂溶性アミノ酸であり、X3及びX3’は独立して、非荷電アミノ酸の群から選択される)であり、前記オリゴペプチド化合物が、(i)前記オリゴペプチド化合物がシグナル配列を少なくとも1つ含むこと、(ii)前記PCNA相互作用モチーフが[K/R]−F−[LIV]−[LIV]−[K/R](配列番号27)であること、の少なくとも一方をさらに特徴とする、医薬組成物。 請求項6 経口、非経口、局所、直腸、生殖器、皮下、経尿道、経皮、鼻腔内、腹腔内、筋肉内及び/又は静脈内投与に、及び/又は吸入による投与に適した形態で与えられる、請求項5に記載の医薬組成物。 請求項7 前記オリゴペプチド化合物が、核局在化シグナル配列及び/又は細胞透過シグナル配列をさらに含む構築物の形態である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のオリゴペプチド化合物、使用、方法、又は医薬組成物。 請求項8 前記構築物が核局在化シグナル配列と細胞透過シグナル配列とを含む、請求項7に記載のオリゴペプチド化合物、使用、方法、又は医薬組成物。 請求項9 細胞の成長を阻害することが望まれる障害若しくは病態の検出、診断又はモニタリング方法であって、PCNA相互作用モチーフを含有するタンパク質の発現レベル及び/又は位置を検出することを含み、該タンパク質の異常な発現レベル及び/又は位置が前記障害又は病態の指標となり、前記PCNA相互作用モチーフが、X1X2X3X3’X1’(配列番号1)(式中、X1及びX1’は独立して、塩基性アミノ酸の群から選択され、X2は脂溶性アミノ酸であり、X3及びX3’は独立して、非荷電アミノ酸の群から選択される)である、検出、診断又はモニタリング方法。 請求項10 (i)PCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物、又は該PCNA相互作用モチーフをコードする配列を含む核酸分子を含むオリゴペプチド化合物であって、前記PCNA相互作用モチーフが、X1X2X3X3’X1’(配列番号1)(式中、X1及びX1’は独立して、塩基性アミノ酸の群から選択され、X2は脂溶性アミノ酸であり、X3及びX3’は独立して、非荷電アミノ酸の群から選択される)である、オリゴペプチド化合物と、(ii)細胞増殖抑制剤と、を備える、キット。 請求項11 細胞の成長を阻害することが望まれる障害若しくは病態の治療において又は細胞増殖抑制療法を伴う治療において同時に、連続して又は別々に使用される複合調製物としての、(i)PCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物、又は該PCNA相互作用モチーフをコードする配列を含む核酸分子(該PCNA相互作用モチーフが、X1X2X3X3’X1’(配列番号1)(式中、X1及びX1’は独立して、塩基性アミノ酸の群から選択され、X2は脂溶性アミノ酸であり、X3及びX3’は独立して、非荷電アミノ酸の群から選択される)である)と、(ii)細胞増殖抑制剤と、を含有する製品。 請求項12 細胞の成長を阻害することが望まれる障害若しくは病態の治療において又は細胞増殖抑制療法を伴う治療において細胞増殖抑制剤と併用される、PCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物、又は該PCNA相互作用モチーフをコードする配列を含む核酸分子であって、前記PCNA相互作用モチーフが、X1X2X3X3’X1’(配列番号1)(式中、X1及びX1’は独立して、塩基性アミノ酸の群から選択され、X2は脂溶性アミノ酸であり、X3及びX3’は独立して、非荷電アミノ酸の群から選択される)である、PCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物、又は該PCNA相互作用モチーフをコードする配列を含む核酸分子。 請求項13 放射線療法のための増感剤として、好ましくは細胞の成長を阻害することが望まれる障害若しくは病態の治療、又は放射線療法を伴う治療に使用される、PCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物、又は該PCNA相互作用モチーフをコードする配列を含む核酸分子であって、前記PCNA相互作用モチーフが、X1X2X3X3’X1’(配列番号1)(式中、X1及びX1’は独立して、塩基性アミノ酸の群から選択され、X2は脂溶性アミノ酸であり、X3及びX3’は独立して、非荷電アミノ酸の群から選択される)である、PCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物、又は該PCNA相互作用モチーフをコードする配列を含む核酸分子。 請求項14 invitroでの解析方法であって、PCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物、又は該PCNA相互作用モチーフをコードする配列を含む核酸分子を細胞又は細胞培養物に投与することを含み、前記PCNA相互作用モチーフが、X1X2X3X3’X1’(配列番号1)(式中、X1及びX1’は独立して、塩基性アミノ酸の群から選択され、X2は脂溶性アミノ酸であり、X3及びX3’は独立して、非荷電アミノ酸の群から選択される)である、invitroでの解析方法。 請求項15 (i)PCNA相互作用モチーフを含むオリゴペプチド化合物、及び/又は(ii)前記PCNA相互作用モチーフをコードする配列を含む核酸分子、を含有するリポソームであって、前記PCNA相互作用モチーフが、X1X2X3X3'X1'(配列番号1)(式中、X1及びX1'は独立して、塩基性アミノ酸の群から選択され、X2は脂溶性アミノ酸であり、X3及びX3'は独立して、非荷電アミノ酸の群から選択される)である、リポソーム。 請求項16 前記核酸分子がベクター内に含まれる、請求項1〜15のいずれか一項に記載のオリゴペプチド化合物、使用、方法、医薬組成物、キット、製品又はリポソーム。 請求項17 PCNAと相互作用可能なオリゴペプチド化合物であって、モチーフX1X2X3X3'X1'(配列番号1)(式中、X1及びX1'は独立して、塩基性アミノ酸の群から選択され、X2は脂溶性アミノ酸であり、X3及びX3'は独立して、非荷電アミノ酸の群から選択される)を含み、前記オリゴペプチド化合物が、(i)前記オリゴペプチド化合物がシグナル配列を少なくとも1つ含むこと、(ii)前記PCNA相互作用モチーフが[K/R]−F−[LIV]−[LIV]−[K/R](配列番号27)であること、の少なくとも一方をさらに特徴とし、前記オリゴペプチド化合物が少なくとも11個のアミノ酸又は同等のサブユニットを含む、PCNAと相互作用可能なオリゴペプチド化合物。 請求項18 配列X1X2X3X3'X1'(配列番号1)(式中、X1及びX1'は独立して、塩基性アミノ酸の群から選択され、X2は脂溶性アミノ酸であり、X3及びX3'は独立して、非荷電アミノ酸の群から選択される)を有するPCNA相互作用モチーフを有する又はこれを含むペプチドをコードする核酸分子であって、前記ペプチドが、(i)前記ペプチドがシグナル配列を少なくとも1つ含むこと、(ii)前記PCNA相互作用モチーフが[K/R]−F−[LIV]−[LIV]−[K/R](配列番号27)であること、の少なくとも一方をさらに特徴とする、核酸分子。 請求項19 請求項18に記載の核酸分子を含むベクター。 請求項20 X2が芳香族アミノ酸であり、及び/又はX3及びX3’が脂肪族アミノ酸である、請求項1〜19のいずれか一項に記載のオリゴペプチド化合物、核酸分子、ベクター、使用、治療方法、医薬組成物、診断方法、キット、製品、invitroでの解析方法又はリポソーム。 請求項21 X1及びX1'は独立して、リシン(K)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H)、オルニチン(Orn)、メチルリシン(MeK)及びアセチルリシン(AcK)から選択され、及び/又はX2はフェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、tert−ブチルグリシン、シクロヘキシルアラニン、tert−ブチルフェニルアラニン、ビフェニルアラニン及びトリtert−ブチルトリプトファンから選択され、及び/又はX3及びX3'は独立して、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、バリン(V)、アラニン(A)、メチオニン(M)及びノルロイシン(Nor)から選択される、請求項1〜20のいずれか一項に記載のオリゴペプチド化合物、核酸分子、ベクター、使用、治療方法、医薬組成物、診断方法、キット、製品、invitroでの解析方法又はリポソーム。 請求項22 X2がFではない、請求項1〜21のいずれか一項に記載のオリゴペプチド化合物、核酸分子、ベクター、使用、治療方法、医薬組成物、診断方法、キット、製品、invitroでの解析方法又はリポソーム。 請求項23 前記PCNA相互作用モチーフが、[K/R]−[F/Y/W]−[L/I/V/A/M]−[L/I/V/A/M]−[K/R](配列番号28)、[K/R]−[Y/W]−[L/I/V/A/M]−[L/I/V/A/M]−[K/R](配列番号29)、[K/R]−[F/Y/W]−[L/I/V/A]−[L/I/V/A]−[K/R](配列番号30)。[K/R]−[Y/W]−[L/I/V/A]−[L/I/V/A]−[K/R](配列番号31)、[K/R]−[F/W]−[L/I/V/A/M]−[L/I/V/A/M]−[K/R](配列番号32)、[K/R]−[F/W]−[L/I/V/A]−[L/I/V/A]−[K/R](配列番号33)、[K/R]−[F/W]−[L/I/V]−[L/I/V]−[K/R](配列番号34)、[K/R]−[F/Y/W]−[L/I/V]−[L/I/V]−[K/R](配列番号35)、[K/R]−[Y/W]−[L/I/V]−[L/I/V]−[K/R](配列番号36)、又は[K/R]−F−[L/I/V]−[L/I/V]−[K/R](配列番号37)である、請求項1〜22のいずれか一項に記載のオリゴペプチド化合物、核酸分子、ベクター、使用、治療方法、医薬組成物、診断方法、キット、製品、invitroでの解析方法又はリポソーム。 請求項24 前記PCNA相互作用モチーフが、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25又配列番号は26に記載の配列を有する、請求項1〜23のいずれか一項に記載のオリゴペプチド化合物、核酸分子、ベクター、使用、治療方法又は医薬組成物。 請求項25 前記オリゴペプチド化合物がシグナル配列を含む、請求項1〜6及び9〜24のいずれか一項に記載のオリゴペプチド化合物、核酸分子、ベクター、使用、方法、医薬組成物、キット、製品又はリポソーム。 請求項26 前記シグナル配列が核局在化シグナル配列及び/又は細胞透過シグナル配列である、請求項25に記載のオリゴペプチド化合物、核酸分子、ベクター、使用、方法、医薬組成物、キット、製品又はリポソーム。 請求項27 前記細胞透過シグナル配列がHIV−TAT若しくはPenetratin、又はその断片若しくは誘導体である、請求項7、8又は26のいずれか一項に記載のオリゴペプチド化合物、核酸分子、ベクター、使用、方法、医薬組成物、キット、製品又はリポソーム。 請求項28 前記オリゴペプチド化合物及び/又は核酸分子が、細胞増殖抑制剤と共に同時に、別々に又は連続して使用される、請求項1〜27のいずれか一項に記載のオリゴペプチド化合物、核酸分子、ベクター、使用、方法、医薬組成物、キット、製品又はリポソーム。 請求項29 前記オリゴペプチド化合物が融合タンパク質又はアプタマーの一部である、請求項1〜28のいずれか一項に記載のオリゴペプチド化合物、核酸分子、ベクター、使用、方法、医薬組成物、キット、製品又はリポソーム。 請求項30 前記オリゴペプチド化合物が、少なくとも1個、2個、3個、4個又は5個のD−アミノ酸、少なくとも1個、2個、3個、4個又は5個の非コーディングアミノ酸、少なくとも1個、2個、3個、4個又は5個のジアミノ酸、及び/又は少なくとも1個、2個、3個、4個又は5個のβ−アミノ酸を含む、請求項1〜29のいずれか一項に記載のオリゴペプチド化合物、核酸分子、ベクター、使用、方法、医薬組成物、キット、製品又はリポソーム。 請求項31 前記オリゴペプチド化合物が少なくとも5個で且つ200個以下のサブユニットを含む、請求項1〜30のいずれか一項に記載のオリゴペプチド化合物、核酸分子、ベクター、使用、方法、医薬組成物、キット、製品又はリポソーム。 請求項32 前記核酸分子が少なくとも15個で、且つ800個、700個、650個、600個、550個、500個、450個、400個、350個、300個、250個、200個、150個、100個又は50個以下のヌクレオチドを含む、請求項1〜31のいずれか一項に記載の核酸分子。 請求項33 前記細胞増殖抑制剤が、アクチノマイシンD、BCNU(カルマスティン)、カルボプラチン、CCNU、カンプトテシン(CPT)、カンタリジン、シスプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、DTIC、エピルビシン、エトポシド、ゲフィニチブ、ゲムシタビン、イフォサミド、イリノテカン、イオノマイシン、メルファラン、メトトレキサート、マイトマイシンC(MMC)、ミトザントロンメルカプトプリン、オキサリプラチン、パクリタキセル(タキソール)、PARP−1阻害剤、タキソテール、テモゾロミド(TZM)、テニポシド、トポテカン、トレオスルファン、ビノレルビン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、5−アザシチジン、5,6−ジヒドロ−5−アザシチジン及び5−フルオロウラシルから選択される、請求項10〜16又は20〜32のいずれか一項に記載のオリゴペプチド化合物、核酸分子、ベクター、使用、方法、医薬組成物、キット又は製品。 請求項34 前記細胞増殖抑制剤がアルキル化剤である、請求項10〜16又は20〜32のいずれか一項に記載のオリゴペプチド化合物、核酸分子、ベクター、使用、方法、医薬組成物、キット又は製品。 請求項35 過剰増殖性障害の治療に又は骨髄除去に使用される、請求項1〜34のいずれか一項に記載のオリゴペプチド化合物、核酸分子、ベクター、使用、方法、医薬組成物、キット、製品又はリポソーム。 請求項36 前記過剰増殖性障害が、悪性、前癌性又は非悪性の腫瘍性障害、炎症、自己免疫障害、血液障害、皮膚障害、ウイルス誘導性の過剰増殖性障害、骨髄異形成(myelodyplastic)障害又は骨髄増殖性障害から選択される、請求項35に記載のオリゴペプチド化合物、核酸分子、ベクター、使用、方法、医薬組成物、キット、製品又はリポソーム。 請求項37 前記過剰増殖性障害が、癌、良性腫瘍、乾癬性関節炎、関節リウマチ、炎症性腸疾患、乾癬、ライター症候群、毛孔性紅色粃糠疹、過剰増殖性変異型の角質化障害、再狭窄、糖尿病性腎症、甲状腺過形成、グレイヴズ病、前立腺肥大症、Li−Fraumenti症候群、糖尿病性網膜症、末梢血管疾患、子宮頸部上皮内癌、家族性腸ポリープ症、口腔白板症、組織球増殖症、ケロイド、血管腫、過剰増殖性動脈狭窄、炎症性関節炎、過角化症、関節炎を含む丘疹鱗屑性発疹、疣贅、及びEBV誘導性疾患、瘢痕形成、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス(SLE、ループス)、重症筋無力症、非悪性過形成、肉芽腫、意義不明の単クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS)、新生物性髄膜炎、真性赤血球増加症、硬化性粘液水腫、丘疹性ムチン沈着症、アミロイドーシス及びヴェグナー肉芽腫から選択される、請求項36に記載のオリゴペプチド化合物、核酸分子、ベクター、使用、方法、医薬組成物、キット、製品又はリポソーム。 請求項38 細胞の成長を阻害することが望まれる障害又は病態を診断するキットであって、PCNA相互作用モチーフに特異的な抗体と、該障害又は病態を診断するためのこれらの使用に関する取扱説明書と、必要に応じて検出可能な物質とを備え、前記PCNA相互作用モチーフが、X1X2X3X3’X1’(配列番号1)(式中、X1及びX1’は独立して、塩基性アミノ酸の群から選択され、X2は脂溶性アミノ酸であり、X3及びX3’は独立して、非荷電アミノ酸の群から選択される)である、キット。
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